忌引き休暇とは?給与の有無や取得中のマナー、日数、申請方法などをご紹介
2023.10.07
会社勤めの方や学生の方は、ご家族やご親戚が亡くなった際、忌引き休暇を取得することが一般的です。
しかし「忌引き」という言葉を知っていた場合でも、実際にどのように対応したらよいのかがわからない方は多いでしょう。そのため、忌引き休暇にまつわる知識を事前に知っておくことで、いざというときに困ることなく対応しやすくなります。
ここでは、忌引き休暇の概要や給与支払いの有無、取得期間中のマナー、取得可能な日数、申請方法などをご紹介します。
忌引き休暇とは
忌引き休暇とは、大切なご家族やご親戚が亡くなったときに取得する休暇のことです。会社や学校によっては慶忌休暇、特別休暇という名称で呼ばれる場合もあります。
忌引き休暇の「忌引き」とは、喪に服すといった意味です。喪に服すとは、身近な方が亡くなったあと、故人様を悼み一定期間、自分の行動などを慎むことをさします。また近親者が亡くなり、一定期間喪に服して身を慎むことを忌服と呼びます。なお忌の期間は49日、服の期間が1年です。
忌引き休暇は法定休暇なのか?
忌引き休暇は、法律によって定められた法定休暇ではありません。忌引き休暇は、会社や学校などで定められたルールに則って運用されています。ただし、多くの企業で忌引き休暇が設けられており、忌引きが取得できることは普通だといえるでしょう。
忌引き休暇中の給与の有無は?
忌引き休暇のルールは、法律で定められたものではなく、会社が独自に決める制度です。したがって、忌引き休暇の取得中に給与が支払われるかどうかは、企業側が作成した就業規則の内容によって異なります。
つまり、忌引きを勤め先が取り入れており、給料が支払われると決められていれば、忌引き休暇中も給料が支払われるということです。
学生の出席日数への影響は?
忌引き休暇のルールは、学校によって異なるため一概には言えません。一般的には、忌引き休暇は公欠扱いとなり、出席日数と授業日数の双方が減ります。そのため、学生が忌引きで休んだ場合でも、出席日数に影響は出ないケースが多いでしょう。
ただし、忌引きで休んだ場合でも、出席日数が増えるわけではないため、単位認定や進級に必要な出席日数がきまっている場合は注意が必要です。
一周忌法要で忌引き休暇は取得できるのか?
一周忌法要が執り行われる場合に、会社や学校を忌引きとして休むことは、ほぼできません。忌引き扱いとなるのは葬儀だけとなり、それ以外の法要は忌引きになりません。
もし法要で会社を休む場合は、有給休暇を申請しましょう。ただし、法要の日程を土日に調整することも可能なため、無理に有給休暇を申請する必要はありません。ご家族と相談して、都合のよい日程で調整するのが得策です。
忌引き期間中のマナー
忌引き期間中は、故人様を偲び位牌や遺影の前で手を合わせることが一般的です。また、楽しみごとや娯楽を避け、アルコール摂取も控えます。忌引き休暇の取得期間中は、派手にならず控えめに生活を送るのが一般的です。また忌引きには、休暇を取る際のマナーや忌引き明けに行うこと、忌服期間に控えるべきことなど、さまざまなマナーが存在します。
喪に服す期間中に控えるべきこと
忌引き休暇を取得し、喪に服す場合、以下のようなことを避ける必要があります。
・神社への参拝
・七五三や結婚式などのおめでたい行事
・飲み会
・年賀状を出す
・お中元、お歳暮を送る
・神棚を開ける
忌中の場合、これらの行事に誘われても丁重にお断りするのがマナーです。喪中とは知らずに、相手から誘われた際は、嫌な印象を与えないように「忌に服す期間中なので」と伝えましょう。
忌引きのマナーをあらかじめ頭に入れておけば、突然身内に不幸が訪れた場合でも、慌てずに対応ができます。「知らなかったから……」とマナー違反になる前に、事前に知識を身につけておくのが賢明です。
忌引き休暇の取得可能な日数
忌引き休暇の取得可能な日数の目安は、以下のとおりです。
・配偶者:10日間
・父親/母親:7日間
・子ども:5日間
・兄弟姉妹/祖父母:3日間
・配偶者の祖父母、兄弟姉妹/孫:1日
忌引き休暇の取得可能な日数は、故人様との関係性によって変化します。また、忌引き休暇を取得できる範囲は、一般的に3親等までです。
3親等は、本人から見て血縁関係の近い方だといえます。例えば配偶者や父母、祖父母、兄弟、姉妹、叔父、叔母、子、甥、姪などが3親等以内の血族です。血縁関係が近い人ほど、忌引き休暇を長く取得できます。
配偶者が亡くなった場合は、一般的に7日〜10日間、自分の父母の場合は7日間、子どもは5日間、兄弟、姉妹、祖父母では3日間、配偶者の父母が亡くなった場合には2日〜3日間、配偶者の祖父母や兄弟姉妹の場合は1日が目安です。
有給休暇と忌引き休暇の違い
有給休暇と忌引き休暇の違いは、法定休暇であるか否かです。有給休暇は付与が義務付けられている法定休暇ですある一方、忌引き休暇は企業が任意で設定できる特別休暇の一種です。
忌引き休暇の開始日は、亡くなった日、亡くなった翌日、お通夜の日から数えることが多いでしょう。ただし、開始日の法的な規制がないため、勤めている会社の就業規則や通っている学校の校則を、事前に確認しておくとよいでしょう。実際には忌引き休暇だけでは、葬儀前後の日数が足りないことも多くあると思います。
忌引き休暇の申請方法と休暇明けに行うこと
忌引き休暇を取得するためには、申請を行う必要があります。また、休暇明けには香典返しなどの対応も必要です。ここでは、忌引き休暇の申請方法と休暇明けに行うことについて解説します。
忌引き休暇の申請方法
忌引き休暇の申請方法は、会社員と学生では異なります。ここでは、それぞれの申請方法について確認しておきましょう。
会社員の場合
会社員が忌引き休暇を申請する場合は、人事や総務部ではなく、直属の上司に連絡します。「いつから何日間休むのか」「手持ちの仕事はどうするか」など、引き継ぎを行いましょう。その際、総務部にも連絡を入れるよう指示を受けた場合は、速やかに連絡します。
夜間、または早朝などで電話連絡ができなければ、メールを送ってから、後で電話連絡するとよいでしょう。メールで送る際は、故人様との続柄、何日間休むか、忌引き休暇中でもつながる連絡先を記載します。
連絡をメールで送るメリットは、伝達ミスをなくせる点です。電話で連絡を入れた際も、文面で残すためにメールで送るとよいでしょう。迅速に連絡をすることが大切であることも忘れないでください。なお、メールだけでは伝わらない場合もあるため、勤務時間中に必ず上司に連絡を入れましょう。
(メールで申請する場合の例文)
本文:◯◯様 夜分遅くに失礼致します。 ◯月◯日に祖父が逝去致しました。 急な連絡で恐れ入りますが 下記の通り忌引き休暇を申請致します。 忌引き休暇期間 ◯年◯月◯日〜◯年◯月◯日◯(◯日間) 忌引き休暇中は、以下の電話番号にご連絡をお願い致します。 ◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯ 葬儀、告別式につきましては詳細が決まり次第、改めてご連絡させて頂きます。 ご迷惑をお掛け致しますが、何卒よろしくお願い申し上げます。 |
学生の場合
学生が忌引き休暇を申請する方法は、学校によって異なりますが、以下のような手順で手続きを進めることが一般的です。
1.就業規則や学生手帳を確認する:忌引き休暇に関する規定は、学校ごとに異なる場合があります。まずは学校の就業規則や学生手帳を確認しましょう。
2.担任に連絡する:忌引き休暇を取得するためには、担任に連絡して申請する必要があります。連絡方法は電話やメールなど、学校のルールに従って行いましょう。
3.必要な書類の提出:学校によっては、忌引き休暇を取得する際に必要な書類の提出を求められる場合があります。具体的な書類や提出方法については、学校の規定を確認しましょう。
忌引き明けに行うこと
会社員が忌引き休暇明けに出社する際は、職場の方々に感謝の気持ちを表すため、お菓子を持参することも1つの方法です。忌引き休暇は突然のお休みになるため、仕事に支障が出る場合もあります。休みの間、上司や同僚にサポートしてもらったお礼として気持ちを伝える方法の1つであります。
お菓子を購入する際の注意点としては、のしをつけないことです。のしはお祝いの品につけるものであるため、忌引き休暇の場合は必要ありません。
学生が忌引き明けで復帰する際には、担任に連絡して「急な連絡に対応してくれたこと」「休ませてもらったおかげで、きちんとお別れができたこと」に対するお礼の気持ちを伝えましょう。
香典返しについて
葬儀の際に香典を受け取った場合は、忌引き休暇明けの挨拶回りと同時に香典返しを渡しましょう。香典返しは、香典を頂いた方に49日が過ぎた後にお返しするのが一般的です。
一方、忌引き明けのお菓子は、休暇にサポートして頂いた感謝の気持ちを表すものです。どちらも大切なものですが、意味は異なるため、間違えるとマナー違反になるため注意しましよう。
忌引き休暇は急なお休みとなり、会社に迷惑をかけたことに変わりはないため、周囲への配慮を忘れないことが大切です。
なお、香典返しについては、以下記事の内容もあわせてご確認ください。
関連記事:『香典はマナーが大切!金額の目安やマナー、書き方などをご紹介』
関連記事:『香典返しに相応しい品物とは?タブーなものも紹介』
まとめ
人の死は突然訪れます。忌引き休暇を利用する日は、いつ訪れるのかはわかりません。身近な人が亡くなったという現実が急に訪れたときは、精神的にも辛い状況に陥るため、仕事のことや休暇のことなど考えられないかもしれません。
しかし、葬儀を悔いなく行うためにも、忌引き休暇をしっかり取って、故人様との最後のお別れに集中したいところでしょう。忌引き休暇は、会社、学校ごとに定まっている内容が異なるため、一度自分の会社の就業規則、校則を確認しておくことをおすすめします。
休暇の手続き、マナーなど、事前に知っていることによって、心に余裕ができるため、本記事の内容をぜひ参考にしてみてください。
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