火葬式(直葬)の流れとは?メリット・デメリットや火葬場の選び方も紹介
2022.08.16
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の影響で、密を回避するために故人様の葬儀を火葬式で行う方が多くなったといわれています。しかし、火葬式を執り行う方は、コロナが蔓延する以前から増加傾向でした。
火葬式には通常の葬儀とは異なるメリットがある反面、デメリットもあります。そのため、万が一の事態に備え、火葬式についての知見を深めておくと安心でしょう。
今回は火葬式の概要や流れ、メリット・デメリット、火葬場の選び方などについて解説します。
火葬式(直葬)とは
火葬式とは、かしまった葬儀を執り行わず、故人様を火葬場にお連れし荼毘に伏す(だびにふす:火葬すること)ことで、直葬とも呼ばれています。故人様と火葬炉の前で5分から10分程度の読経やお別れをした後、そのまま火葬が執り行われる点が特徴です。
したがって、お通夜やお葬式、告別式などは行われません。また火葬式では、初七日法要も同時に済ませることが一般的です。
火葬式を選ぶ方が増えた背景
近年、ライフスタイルや価値観の多様化により、葬儀にお金をかけたくない方が増えたことで、葬儀の形として火葬式を選択されるケースが増えています。また、人と人とのつながりが希薄になり、核家族が増えたことによって、参列が難しくなったことも火葬式が増えた理由といえるでしょう。
また、2020年以降はコロナの影響で、1か所に多くの人々を集めるのを避けるために、お通夜とお葬式で2日間かかる一般葬を行わない方がさらに増えました。
火葬式のメリット
火葬式のメリットは大きく2つあります。それぞれの内容を確認しておきましょう。
一般葬に比べ安価に実施できる
火葬式の最大のメリットは、なんといっても費用や時間を抑えられることです。
お通夜やお葬式、告別式は行わず、火葬のみであるため、葬儀費用そのものを安く抑えられます。そのため、葬儀の費用をできるだけ安く抑えたい方に適した葬儀の方法といえるでしょう。
ご遺族の負担を軽減できる
火葬式は開始から終わりまで3時間程度と短いため、ご遺族や参列者様の負担が軽く済む点もメリットです。
一般葬の場合、2日間にわたってお通夜式、お葬式、告別式などを実施する必要があるので、喪主様やご遺族の負担が大きくなります。一方、火葬式の場合は、火葬場に集まってから散会まで、2時間程度しかかかりません。
そのため、ご家族やご親戚に身体の不自由な方や高齢者が多い場合は、負担が少なく参列しやすいでしょう。
以上2点のメリットから火葬式は、時間や費用を抑えたい方や、身内だけでひっそりとお見送りをしたい方によく選ばれます。
火葬式のデメリット
火葬式にはデメリットもあります。そのため、実施を検討する際には、以下の2点を鑑みたうえで判断しましょう。
故人様と過ごす最後の時間が短くなる
故人様とのお別れの時間が僅かしかない点が、火葬式のデメリットです。
火葬式では、火葬前の数分程度しか、故人様との時間が設けてられていません。また、ご遺族やご親族などに参列者が限定されるため、知人や友人などは故人様とお別れができない可能性があります。
さらに、ほとんどの火葬場において写真撮影は禁止です。よって、故人様の最期の姿を写真に収めたい方は、火葬場へ入る前に撮らなくてはいけません。
火葬式が認められない可能性がある
ご家族やご親族、菩提寺の僧侶の意向によっては、火葬式が認められない可能性があります。
ご家族やご親戚の中には、故人様との最後の時間を短い火葬式で行うことに難色を示す方もいるでしょう。
また、菩提寺によっては火葬式に対応していないところもあるようです。そのため、事前に確認を取らないと、トラブルに発展する可能性があるので注意しましょう。
火葬式の流れ
火葬式がどのように執り行われるのか、知らない方が多いと思います。本章では、火葬式までの流れと式当日の流れに分けて解説するので、それぞれ確認しておきましょう。
火葬式までの流れ
まず、火葬式までの流れについて解説します。大きくは以下の3ステップです。
死亡診断書(死体検案書)の発行
故人様が亡くなってから最初に必要な手続きは、死亡診断書(死体検案書)を医師に発行してもらうことです。
火葬式だけでなく、一般葬を執り行う場合も、同様の手続きを行います。故人様が病院やご自宅で亡くなった場合は、担当医や訪問医が死亡診断書を作成します。
なお、病院の医師が死因を特定できない場合は、死因調査に警察が介入することが一般的です。警察の協力医が最終的に死因を特定し、死体検案書を発行します。死亡診断書と死体検案書は名称が違うだけで、同じ内容の書類です。
死亡届の提出、火葬許可証の発行
次に行う手続きは、役所への死亡届の提出です。
死亡診断書はA3サイズのものが一般的で、用紙の右側は「死亡診断書(死体検案書)」となっており、左側が「死亡届」となっています。なお、死亡届の面は空欄になっており、ここに故人様の情報や届出人となる方の情報を記入し、死亡日から原則1週間以内に、以下いずれかの条件を満たす役所への提出が必要です。
・故人様の亡くなった住所地を管轄する役所
・故人様の本籍地を管轄する役所
・届出人の住所地を管轄する役所
死亡届を役所に提出すると、火葬許可証が発行してもらえます。火葬許可証がない場合は、火葬場で火葬の手続きができません。
ご遺体の安置
死亡診断書(死体検案書)を発行した後、速やかに故人様を安置する必要があります。
人が亡くなると、その瞬間から腐敗が進行します。何も処置をしなければ、肌の色が変わってしまったり、異臭を発したりする可能性があるでしょう。
当日を安らかな状態で迎えるためには、故人様のご遺体を霊安室に安置するか、ドライアイスをあてて腐敗の進行を遅らせる必要があります。そのため、この時点からご指定の葬儀会社に、故人様のお迎えに来てもらうことが多いです。
ご自宅に安置するか、葬儀会社の霊安室に安置するかを検討し、納棺や火葬当日に関する打合せを経て当日を迎えます。
火葬式当日の流れ
火葬式当日は、指定の火葬場で集合時間に集まりましょう。参列者が全員集まった後、葬儀会社の案内に従い、故人様と一緒に火葬炉まで移動します。
また、菩提寺の僧侶を手配している場合は、同じ時間を指定しておきましょう。
最期のお別れの時間
葬儀会社のスタッフに故人様を火葬場まで移送してもらい、火葬場の火葬技師に託します。
その後、火葬技師の案内のもと、告別室、または火葬炉の前に移動し、5分から10分程度のお別れの時間があります。この時間が、故人様と会える最期の時間です。お花や副葬品を棺の中に手向けます。
なお、僧侶を手配されている場合は、短時間の読経であれば実施可能です。
火葬
故人様とのお別れが済んだ後、火葬技師が故人様を火葬炉の中へとお運び致します。
故人様のご遺体が火葬炉に入った後、1時間ほど火葬時間があるので、休憩室(待合室)やロビーで待つことが一般的です。仕出し屋さんにお食事の注文をされている場合は、収骨までの間に食事ができます。
収骨、散会
火葬炉の火が止まり、10分程度の冷却時間の後、収骨の案内が行われます。冷却が終了した後、ご家族やご親戚が収骨に立会います。
火葬技師の案内に従って、お骨の確認と収骨を行いましょう。また埋葬許可証の説明、および交付の手続きも行われます。その後、散会する形で火葬式は終了です。
なお、喪主様から参列者に挨拶がある場合は、散会前に実施できます。
火葬場について
火葬場は、ご遺体を荼毘に伏すための施設です。神奈川県内には併せて20箇所の市営と民営の火葬場があります。また、葬儀を執り行うための式場が併設されているところが多いです。
火葬炉の数は施設ごとに異なり、場内のルールも少々異なります。告別室と呼ばれる、故人様と最期のお別れをする部屋がある火葬場があれば、お別れの時間を取れない火葬場もあるので、事前に確認が必要です。
火葬場の選び方
火葬場を選ぶ際は、葬儀を執り行う場所から、できるだけ近い火葬場を選択します。そのため火葬式の場合も、故人様の住所地から近い火葬場で火葬することが多いです。
火葬場の予約は、葬儀会社のスタッフが行います。なお、神奈川県の火葬場については、以下の記事で詳しく紹介しているので併せてご確認ください。
火葬場の運営には資格が必要
火葬場は、誰でも運営できるわけではありません。
ご遺体の火葬や埋葬は「墓地、埋葬等に関する法律」という法律に則って行われます。この法律の第一条には「墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的とする」と示されており、以降の条項に火葬場の経営には知事からの許可が必要であることや、火葬許可証の交付に関することなどが明示されている点が特徴です。
また、死亡後24時間以内の火葬が禁止されていることも、この法律に明示されています。
まとめ
2020年以降は、コロナの影響で火葬式の需要が急激に高まりました。葬儀を簡潔に執り行えるメリットがある一方で、故人様との最期の時間をゆっくり過ごせないデメリットもあります。
横浜市や川崎市で火葬式を行う場合には、創業130年の信頼と安心が自慢の「お葬式の杉浦本店」にぜひご相談ください。故人様と過ごす最後の時間をより良い形で過ごして頂けるようにお手伝いします。何かわからないことなどがあれば、24時間365日対応していますので、どうぞお気軽にご相談下さい。