霊安室とはどのような場所なのか?用意されている場所や費用も紹介
2022.07.04
人が亡くなると、病院の霊安室と呼ばれる場所へ一時安置されることが一般的です。霊安室に安置されたご遺体は、その後ご自宅や葬儀場などへ運ばれます。
そのため、ご家族やご親戚などに万が一のことが起こった場合には、霊安室を利用することになるでしょう。そこで今回は、霊安室がどのような場所なのか解説しつつ、設置されている場所や費用などについても紹介します。
霊安室とは
霊安室とは人がなくなった際、一時的にご遺体を安置する場所のことです。霊安室は「遺体安置所」「安置室」とも呼ばれ、病院や警察、葬儀場などに設置されています。
ただし、これらすべての施設に霊安室が必ず設置されているわけではないので、事前に設備の有無を確認しておかなくてはいけません。また、病院の霊安室では、ご遺体を棺に納めることが禁止されているため、スタッフにお願いすることは避けましょう。
霊安室に安置したご遺体を、直接火葬場へ運ぶことも禁じられています。そのため、霊安室から葬儀会場やご自宅へ、ご遺体を運ばなくてはいけません。
また、霊安室を設置している施設によっても運用ルールが異なります。面接の時間が24時間いつでもOKなところがある一方、時間が制限されていたり、スタッフの立ち合いが必須だったりするケースもあるでしょう。
霊安室が設置されている場所
霊安室が設置されているのは、病院や警察、葬儀場、火葬場などです。どのようなケースに利用されるのか、それぞれ解説します。
病院
ほとんどの病院には、霊安室が設置されていることが一般的です。病院で患者さんが亡くなられた後、一時的にご遺体を安置する場所として利用されます。
病院の霊安室はあくまでも一時的にご遺体を安置する場所のため、数時間程度で別の場所へ移動させなくてはいけません。病院の霊安室は、院内の目立たない箇所か、病棟から離れた場所に設置されることが多いです。また、最近は地下ではなく、1階に設置されるケースが増えています。
警察
事件や事故でなくなった方のご遺体は、警察の霊安室へ安置される場合があります。死亡現場からご遺体を警察に運び、一時的に安置する用途で利用されることが一般的です。
ただし、大都市の警察署には専用の霊安室が設置されているケースが多いですが、地方の警察署では倉庫などと兼用されることもあります。また、ご遺体を安置する専用の台なども設置されておらず、床にゴザなどを敷いてそこへ安置するケースもあるようです。
葬儀場・火葬場
葬儀場の霊安室は、病院の霊安室などから運ばれたご遺体を、葬儀がはじまるまで安置する場所として利用されます。葬儀場によっては、霊安室を「お別れ室」や「安置室」など、別名で呼ぶこともあるようです。
また、葬儀場に併設されている火葬場にも、霊安室が設置されている場合があります。特に都市部の火葬場によく見られるケースです。なお近年は、都市部における火葬場の混雑によって、火葬のスケジュールが遅くなる場合があります。そのため、ご遺体を冷凍保存できる専用の冷蔵庫を設置している火葬場も増えている状況です。
霊安室が必要な理由
霊安室が必要な理由は、日本の法律で死後24時間以内に火葬をしてはいけないと定められているためです。よって、人が亡くなった後、一時的にご遺体を安置する場所を用意する必要があることから、霊安室が準備されています。
また、病院などで患者さんが亡くなられた後、ご自宅や葬儀場へ運ぶまでに一時的にご遺体を安置しなくてはいけないことも、霊安室を設置しなくてはいけない理由です。特に病院でお亡くなりになった場合は、ほかの患者さんもいる関係上、いつまでも同じ部屋にご遺体を安置しておくわけにはいきません。そのため、死亡後速やかに霊安室へご遺体を移動させます。
霊安室を利用するために必要な費用
霊安室はほとんどの方がお亡くなりになった後、利用するものです。そのため、どの程度の費用がかかるのか気になるところでしょう。本章では、霊安室を利用するために必要な費用について解説します。
病院・警察の霊安室を利用するための費用
病院や警察の霊安室は無料で利用できます。
ただし、多くの病院の霊安室は、基本的に数時間程度しか利用できません。そのため、よほどの事情がない限りは、速やかに別の場所へご遺体を移動させる手続きを行う必要があります。
一方、警察の霊安室は、検死やDNA鑑定の結果待ちや身元不明者など、さまざまな理由で一定期間安置できる場合が多いです。しかし、ご家族やご遺族がいる場合には、1日程度で別の場所へご遺体を運ぶ必要があります。
葬儀場・火葬場の霊安室を利用するための費用
葬儀場や火葬場の霊安室は、葬儀や火葬に供えるため、ご遺体を一定期間保管できる想定で準備されています。そのため、霊安室を利用するための費用は、明確に決められていることが一般的です。
葬儀場の霊安室の費用は、葬儀プランに包含されている場合が普通ですが、単体で利用したときの費用相場は以下のようになっています。
・霊安室使用料:1日10,000円から20,000円程度
・ドライアイス:1日5,000円から12,000円程度
一方、火葬場の霊安室を利用するための費用は、1日500円から数千円程度が相場です。ただし、火葬場には民営と公営のものがあり、公営のほうが費用は安価でしょう。また、お住まいの地域の自治体が管理している火葬場のほうが、より安価に利用できます。
故人様のご遺体に施す儀式や処置
故人様がお亡くなりになった後、ご遺体にいくつかの儀式や処置を行うことが一般的です。それぞれの処置内容について解説します。
末期の水
末期の水(まつごのみず)とは、故人様のお口に水を含ませる儀式です。
病院で医師によって死亡確認がなされた後、その場にいる家族やご遺族、看護師などが、末期の水を執り行います。末期の水には、故人様の復活と死後喉が渇かないようにするという2つの願いが込められているそうです。末期の水は本来、仏教の儀式ですが、そのほかの宗教のご遺体にも執り行われる場合もあります。
末期の水は、箸(新品か割り箸)の先で水を含んだ脱脂綿を使って、故人様の唇を優しく潤す儀式です。なお、喪主が最初に実施した後、血縁の近い順に執り行います。
清拭・湯灌
病院でお亡くなりになると、アルコールに浸したガーゼや脱脂綿を使って、ご遺体の身体を拭く清拭(せいしき)と呼ばれる処置が行われます。
一方、湯灌(ゆかん)とは、故人様の髪や身体を洗う儀式です。湯灌を行うことでご遺体の腐敗が進行するのを抑制するとともに、現世での悩みや煩悩を洗い流し、あの世で成仏して欲しいという願いが込められています。
着替え
故人様のご遺体がきれいになったら、死に装束に着替えませます。ただし近年は、故人様が好きだった服を着せるケースも増えており、必ずしも死に装束に着替えさせる必要はありません。
また、このとき故人様のご遺体に死化粧を行い、薄化粧を施し眉毛やひげなどを整えます。なお、死化粧は葬儀会社のスタッフが行うことが一般的ですが、ご家族が行うことも可能です。
エンバーミング処置(必要に応じて)
ご遺体の状況や葬儀のスケジュールによっては、ご遺体にエンバーミング処置を施す必要があります。エンバーミング処置とはご遺体の腐敗進行を抑制するための処置で、日本語では「死体防腐処理」「遺体衛生保全」という意味です。
人は死亡すると腐敗がはじまるため、日数が経つほどご遺体の状況が悪化します。そのため、可能な限り生前の姿を維持するために、エンバーミング処置を施すのです。
エンバーミング処置では、ご遺体の消毒や殺菌を行って臓器や血液を取り出し、防腐剤を体内に注入します。これにより、最大2週間程度、腐敗の進行を抑制できるので、都市部などで葬儀場や火葬場が混雑しているケースや、ご遺族に多忙な方が多いケースなどに利用されます。
なお、死後の遺体処理については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
関連記事:死後の遺体処理とは?ご遺体の変化となくなってからの流れ
まとめ
霊安室は病院や警察などに設置されている、ご遺体を一時的に安置する場所です。ただし、長時間ご遺体を安置できないので、速やかに葬儀会社などと調整し、ご自宅や葬儀場などへ移動させなくてはいけません。
大切な方が亡くなった悲しみの中、迅速に調整をする必要があるので、できるだけ信頼できる葬儀会社に依頼することをおすすめします。
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