お仏壇の選び方や購入金額の相場を知りたい!3つのポイントで決めよう

2022.04.06

お仏壇は四十九日から一周忌にかけて購入されることが一般的だといわれています。四十九日を迎えるまでは、ご遺骨やお位牌をおまつりする中陰壇(ちゅういんだん)が組まれており、その前でのお参りで事足りているからです。

しかし、中陰壇を取り払った後は、ご遺骨やお位牌の安置場所がなくなるうえに、四十九日以降の仏事を営むにあたってはどうしてもお仏壇が必要になってきます。そのときにあわてて購入することになるので、四十九日、一周忌などといわず、葬儀の後、一段落した段階で可能な限り早めにご自宅へ安置するのがよいでしょう。

そこで今回は、お仏壇の選び方や購入金額の相場を紹介するとともに、選択するときに注意しておきたい3つのポイントも解説するので参考にしてみてください。

お仏壇の今と昔

昔はお仏壇をご自宅に設置することが「当たり前」の時代でした。それこそ昔は、お仏壇を買うという行為が、一生に一度の必要な買い物と思われていたほどです。

しかし現代では、ご自宅にお仏壇が無い方も多くなってきています。また「おじいちゃんやおばあちゃんの家でしか見たことがない」という方も少なくありません。

お仏壇が必要かどうかは、それぞれの考え方やご家庭の事情などによって変わります。昔の日本では、朝に神棚を拝んでお仏壇の御本尊と御先祖に合掌と礼拝を行い、お経を読むことが一般的でした。今でも昔と同じように、お仏壇を心の拠り所として安置する方も多くいらっしゃいます。

「あの人が見守ってくれている気がする」といった言葉を、過去に何度も聞いたことがありますが、特に御家族が亡くなられたときの悲しみは大きなものです。現代では色々なものが情報化され趣味なども多様化し、人間関係だけに留まらず家族関係ですら希薄化しつつあります。

それにともない、昔では当たり前だった文化や風習も、今では廃れているものが少なくありません。しかしながら人間は、没後30年の間、正月や盆、命日などにこの世へ戻ってきて、子孫と交われるといわれています。そのため、せめて三十三回忌までは、温かくもてなしてあげられるようにしてみてはいかがでしょうか。

お仏壇を購入するタイミング

お仏壇は本来いつ求めてもよいものですが、故人様が仏様になる四十九日法要までに購入ことが一般的です。また、お盆やお彼岸、ご自宅を建てたり、立て替えたりするタイミングで購入される方もいます。

お仏壇というものは、故人様のお位牌も安置することから、死者の供養をするためのものだと思われがちです。確かにお仏壇の機能の中には、死者の供養が含まれていることに違いはありません。しかし、本当の意味は、ご本尊様にお参りをしてその教えを学び、仏教徒としての自覚を日々確かめていく場として家庭にお迎えするものです。

したがって、購入しなくてはいけないタイミングは特に決まっていないので、思いついときに購入するのがよいでしょう。

以前までは「死者が出ていないのに、お仏壇を購入するのはよくない」という迷信がありました。しかし、それは故人様の仏事に合わせて購入される場合が多いことが原因だったので、気にする必要はありません。

昔のように信仰心が強い時代ではなく、今は多様性なども叫ばれ、色々なことが自由に行えるようになりました。また、お仏壇や御本尊などを一式揃えようと思うと、金銭的負担も重いことから、特に若年層の中には「お仏壇がなくてもよいのでは?」と考える方も増えている状況です。

つまり、お仏壇が必要かどうかというのは、極論を言えば「その人・その家庭次第」といえます。

お仏壇の必要性

もともと仏壇は、祈りや信仰を捧げるための心の拠り所に近い存在で、宗教的な意味合いで保有することが一般的でした。しかし近年、お仏壇は故人様と心で対話をするために、なくてはならないものになりました。そのため、宗教的な意味合いは少なくなっています。

また、お寺へのお参りに日々行くのは困難でしょう。だからこそ、ご自宅の中にお寺の役割を持つお仏壇が家にあれば、毎日お参りしやすくなります。

今では、お仏壇にご両親や家族の位牌をまつる方も多いそうです。大切な方が亡くなられても「どこかで自分を見守ってくれている」と考えるのはおかしいことではなく、むしろ自然なことだといえるでしょう。

何か良いことや嬉しいことがあったときに、故人様へ報告をする。また、嫌なことがあったり悲しいことがあったりしたときに、故人様の写真や位牌に手を合わせて会話をすることで、心の落ち着きを取り戻せます。

家にある仏壇を通して「故人様が見守ってくれている」「大切だった故人様と会話ができる」ことで、残されたご家族はこれから生きていく勇気を与えてもらえますし、前向きにもなれるでしょう。近年、お仏壇が不要だと思われる方も増えてきてはいますが、多様な生活スタイルに合わせたものも作られています。小さめのミニ仏壇などもあるので、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

お仏壇を購入する金額の相場

「いい仏壇」が2018年12月に実施した「仏壇 購入実態調査2018」の調査結果によると、
お仏壇の平均購入価格は33.6万円だそうです。したがって、お仏壇を購入する金額の相場は30万円程度だといえるでしょう。

ただし、お仏壇の金額相場は、種類によって大きく変動します。

例えば、近年の住宅事情の変化によって購入者が増えているミニ仏壇の金額相場は、5万円程度です。しかし、2万円程度の商品と10万円程度のものに2極化されているため、実際には8万円程度の金額がミニ仏壇のボリュームゾーンといえます。

一方、上置き仏壇の金額相場は30万円程度で、モダン仏壇の金額相場50万円程度です。また、高級路線のお仏壇といえる唐木仏壇は、シンプルなもので60万円から110万円程度。金仏壇は100万円から150万円程度の金額が相場といえるでしょう。

参考:いい仏壇/仏壇 購入実態調査2018

お仏壇を選ぶ3つのポイント

お仏壇を選ぶポイントは、種類、置く場所とサイズ、宗派の3つです。それぞれについて解説します。

ポイント1.お仏壇の種類

先ほど紹介した通り、お仏壇は種類によって値段が大きく変動します。

お仏壇は、木目の落ち着いた質感が特徴の「唐木仏壇」と金箔が美しく輝く「漆塗り金仏壇」に大別ができます。これらは、上置型と台付型の2つの型に分かれ、上置型は家具などの上に置いて用い、台付型はそのままでお参りに都合のよい高さになるように設計されている点が特徴です。大きさは大・中・小型があり、ご安置する部屋のスペースや機能に合わせて選ぶとよいでしょう。

最近は、幅広いインテリアに馴染むモダン仏壇や、一般的な仏壇よりかなり小さい(高さ・横幅が20㎝から40cm程度)小型の棚やテーブルの上に置くことができ、ワンルームやマンション暮らしの方に人気のミニ仏壇を選ぶ方が多いです。また、下台のない唐木仏壇や金仏壇タイプの上置き仏壇も人気があります。もちろん、昔ながらの数百万以上するものを購入する方もいます。

なお、お仏壇の金額に仏具は含まれません。別途予算を考えておいたほうがよいと思います。
仏具の金額はお仏壇の2~3割の金額が目安です。

ポイント2.お仏壇を置く場所とサイズ

どのような場所に置くか、どの程度のサイズのものにするかによっても、購入するべきお仏壇は異なります。

例えば、仏間に置く場合と洋室に置く場合では、インテリアと調和する仏壇が異なるでしょう。また、家具やサイドボードの上に置く場合は、あまり大きな仏壇は選べません。

一方、お参りのスタイルによっても、購入するべきお仏壇は変わってきます。正座してお参りする場合と椅子に座ってお参りする場合、また立ってお参りする場合、それぞれに最適なお仏壇を選ぶことが大切です。

なお、唐木仏壇にするか漆塗金仏壇にするかは、安置する部屋との調和を考慮しましょう。もちろん、自由に選べばよいとは思いますが、禅宗(曹洞宗、臨済宗等)のように、質実剛健を宗風とするところでは唐木仏壇。浄土真宗では、ご本尊である阿弥陀如来の世界(極楽浄土)を讃えるということから漆塗金仏壇を選ぶことが多いようです。

また、地域的には関東地方が唐木仏壇、関西地方では漆塗金仏壇が比較的多く普及しています。

ポイント3.信仰する宗派

信仰する宗派によっても、お仏壇の選び方は変わります。特にご本尊と脇侍をご安置するお仏壇である「伝統型仏壇」を購入する際には、宗派ごとに最適なものが異なるため、事前に確認しておきましょう。

日本の仏教はたくさんの宗派(宗旨)に分かれています。お仏壇はそのような各宗派の教えを象徴するものなので、ご本尊をはじめ、お仏壇の飾りも異なっていることが特徴です。

いざお仏壇を購入しようとしたときに、自分の家の宗派をはっきり知っておかないと、間違ったお仏壇を買ってしまうことにもなりかねません。また「〇〇宗」だけではなく、その中の何という宗派なのかについても知っておく必要があります。

例えば、浄土真宗でも「本願寺派(西本願寺)」や「真宗大谷派(東本願寺)」などの宗派に分かれているため、菩提寺様やお手次ぎのお寺様に確認しておきましょう。

お仏壇のご本尊について

お仏壇でもっとも大切な存在といえば、ご本尊をおいてほかにありません。

ご家庭でお迎えするご本尊には、宗派によって木像の座像や立像、金属性の金仏、絵像の掛け軸などがあります。まず自分の宗旨(宗派)をはっきりさせることによって、どのご本尊を迎えるのかがわかるでしょう。

しかし、はじめての人にとっては、そのご本尊が本当に正しいのかどうか、お仏壇との大きさのバランスがどうかなどは判断しづらいものです。そのため、お寺様に相談してアドバイスを受けることをおすすめします。中にはお寺を通して、本山から定められたご本尊をいただく宗派もあるため注意しましょう。

そこで本章では、正しいご本尊のお迎え方法と入仏式について解説します。

正しいご本尊のお迎え方法

おもな宗派のご本尊をまとめて表にしたので、確認しておきましょう。

宗派の種類

宗派のご本尊

浄土真宗本願寺派、真宗大谷派

阿弥陀如来

浄土宗

阿弥陀如来(阿弥陀如来を中央に右に観音様、左に勢至菩薩の三尊像)

日蓮宗

十界曼荼羅

曹洞宗

釈迦如来(座釈迦)右に道元禅師、左に瑩山禅師

臨済宗

釈迦如来(釈迦牟尼仏)※実際はご本尊を立てません

天台宗

釈迦如来、または阿弥陀如来

真言宗

大日如来

これらのご本尊の左右に、宗祖や中興の祖の肖像をかける宗派もあります。お仏壇のお飾りは、まず最上段中央のご本尊を中心に、左右に各宗派で定められた掛け軸(主に宗祖や興隆に貢献された僧侶の肖像)か、ご先祖様や故人様のお位牌。そして中段には、右から蝋燭立て、香炉、花立て、最下段にリンとお線香立てを配置することが一般的です。

入仏式(開眼法要)について

入仏式とは開眼法要とも呼ばれる、新しくお迎えしたご本尊を末長くその家の仏様としてお参りしていただくために、お寺様にお越しいただいてつとめる仏事です。

お寺様へ早めに連絡して日時を決め、当日は家族の方々が集まり、30分程度のおつとめが行われます。法要の間はほかの法要と同様、お寺様の読経中に全員がお焼香をするのみなので、特に変わったことはありません。

お寺様で行う場合はご本尊を持参します。法要が終わったら自宅へ持ち帰り、お仏壇に安置したうえでお線香をあげてお参りをしましょう。

お仏壇の購入金額を抑えるポイント

お仏壇は決して安い買い物ではないので、できるだけ購入金額を抑えたいところでしょう。
そこでお仏壇の購入金額を抑えるポイントを3つ紹介します。

ポイント1. コンパクトで飾り気のないお仏壇を選ぶ

サイズが小さく、シンプルなお仏壇を選ぶことで、購入金額を抑えられます。

お仏壇の購入金額は大きさに比例します。したがって、大型の唐木仏壇や金仏などを選ぶと、それだけ金額も高くなるでしょう。しかし、サイズが小さいミニ仏壇や上置き仏壇であれば、比較的安価に購入することが可能です。

一方、お仏壇に豪華な彫刻や派手な飾りがついているものも、購入金額が高くなります。特に著名な職人が彫った彫刻などが施されたお仏壇は、かなり高額になると思っておいたほうがよいでしょう。

そのため、できるだけシンプルで飾り気のないお仏壇を選ぶことで、購入金額を抑えられます。

ポイント2.海外製のお仏壇を購入する

お仏壇の購入金額を安く抑えるためには、海外製のものを選ぶとよいでしょう。

現在、市場に出回っているお仏壇の70%程度は海外製といわれています。その理由は、国産のお仏壇は購入金額が高めのものが多いからです。

お仏壇は日本の文化なので「できれば日本製のものを購入したい」という気持ちは理解できます。しかし、実際にはお仏壇の本体は日本製ですが、そのほかの彫刻や装飾部分は海外製というケースが多いのも現状です。また、海外製のお仏壇は品質も高いので、特に日本製にこだわる必要はないでしょう。

ポイント3.高級素材のお仏壇は避ける

安価な素材で作られたお仏壇を選択することも、購入金額を安価に抑えるためには有効な手段です。

高級な素材を使用して作られたお仏壇は、当然購入価格が高くなります。例えば、最高級の素材として知られる黒檀を使用したお仏壇の購入金額は、200万円を下らないでしょう。

したがって、お仏壇を選ぶ際には素材にも注目して、ご予算と相談して決めることが賢明です。

まとめ

お仏壇の購入金額の相場は、30万円程度ですが、種類や大きさなどによって変動します。お仏壇を選ぶポイントは、種類、置く場所とサイズ、宗派の3つです。

お仏壇はお参りをするためのもので、飾り物ではありません。そのため、ご家族全員がお参りがしやすい場所を中心に置くことが基本です。「お仏壇だから和室でなければいけない」ということもないので、寝室やリビングでも構いません。

昔から「北向きはよくない」「2階はよくない」などといわれます。その理由は、直射日光や風通しが悪く湿気をもちやすいことと、2階にお仏壇があると、ついお参りがおろそかになるためです。

しかしながら、最近の居住空間を鑑みると、そのようなことを言っていられない事情もあります。そのため、ご家族全員で検討して、お参りのしやすい場所にお仏壇を置くようにしましょう。