市民葬とは?メリット・デメリット、料金相場、神奈川県の事例をご紹介

2023.05.11

葬儀には、多くの費用が必要です。例えば棺や骨壺、お迎えの寝台車、ご遺体を火葬場へ運ぶ霊柩車、保冷措置のドライアイスなどを必ず準備しなくてはいけません。一般的な葬儀では、祭壇や供花、通夜振舞い・精進落としなどの料理、式場利用料、返礼品なども必要です。

そのため近年、市民葬や区民葬と呼ばれる安価な葬儀を行う方が増えています。ここでは、市民葬がどのような葬儀なのか、概要やメリット・デメリット、料金相場、神奈川県における市民葬の事例などをご紹介します。

市民葬とは

市民葬とは、自治体が住民へのサービスの一環として行っている葬儀プランです。自治体が葬儀費用の一部(柩、祭壇、祭壇など)を安価な料金設定にした葬儀プランといえます。なお、区民葬と呼ばれる、区が定める葬儀プランも同様です。

自治体が葬儀に関わるのではなく、市民葬プランを請け負う地元の葬儀会社と提携して実施する点が特徴です。そのため、すべての葬儀会社が、市民葬に対応しているわけではありません。

提携する葬儀会社は自治体から葬儀を斡旋してもらえるメリットがあります。また葬儀会社側の視点からは、一見すると薄利なプランにみえるかもしれません。しかし、他に必要なサービスをオプションで提供できるため、十分な利益を得られるケースが多いです。

一方、消費者としても、市民葬プランは、必要な費用が分かりやすく安価に設定されている点と、自治体が提携していると安心感が得られます。

市民葬を利用するための条件

市民葬のおもな利用条件は、故人様または喪主となる方が、その市区町村に居住して住民票を持つことが一般的です。市民葬・区民葬ともに、お通夜や告別式を含めた一般的な葬儀だけでなく、火葬のみも選べます。

市民葬の申し込み方法

市民葬の申し込み方法は2種類あります。1つは市役所または区役所に直接申し込む方法、そしてもう1つが一般の葬儀と同じように葬儀会社に申し込む方法です。自治体によって異なりますが、死亡届を提出する際、市民葬を行いたい旨を伝えるか、専用用紙に記入する、あるいは死亡届と一緒に申請書も提出するといった方法があります。

例えば、神奈川県の市民葬は、申し込みを市役所や区役所で受け付けている場合と、地域の葬儀会社受け付けている場合があります。人が亡くなると7日以内に役所に死亡届を提出しなければなりません。また市民葬は、あらかじめ葬儀の内容と価格を定めた川崎市市民葬儀取扱指定店で申し込むことが可能です。

市民葬を実施するメリット

市民葬には大きく2つのメリットがあります。それぞれの内容を確認しておきましょう。

費用を安価に抑えられる

市民葬のメリットとしては、葬儀の費用を抑えられることが挙げられます。自治体が葬儀会社と協定したうえで料金を定めているため、葬儀の費用を安価に抑えることが可能です。ただし、市民葬のプランに含まれないものはオプション扱いとなり、追加費用が発生することもありため注意しましょう。

手続きが簡単に行える

市民葬を実施するのは、自治体と連携している葬儀会社のため信頼性が高く、手続きも簡単であることもメリットです。また、自治体が提供するため、地域に密着した葬儀を行えます。

市民葬を実施するデメリット

市民葬を実施する場合のデメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 葬儀の内容が簡素なものになること
  • 葬儀の日程や時間が限られること
  • 葬儀の場所が限られること
  • 葬儀に参列する人数が制限されること

市民葬は、自治体が住民へのサービスの一環として行っている葬儀プランで、葬儀費用は比較的安く抑えられます。ただし、葬儀場使用料をはじめ遺影写真や会葬礼状など、葬儀に必要な料金は含まれないことが多いため注意は必要です。市民葬のプランに含まれないものはすべて追加で発注となるため、逆に費用がかかることもあります。

市民葬の料金相場

市民葬の料金相場は、通夜・告別式を行う場合は 50万円程度です。火葬式のプランは 20万円程度が相場といえるでしょう。

市民葬は本当に安いのか?

市民葬の料金は、各自治体ともに市民が適正価格で葬儀を行えるよう、地元の葬儀会社と協力してできたプランというのが建前です。提携する葬儀会社も自社の一般的なプランよりも安価に設定しるため、少なくとも高くはないでしょう。

しかし、時代によって物価は変わります。また、葬儀の形も時代によって変わってゆくものです。10年前は普通の葬儀会社の追随を許さないような料金だったとしても、近年はそれほど変わらない料金や、さらに安いプランを提供する葬儀会社も存在します。

そのため、市民葬の金額も、時代にあわせて変えていく必要があるでしょう。近年実施されている一般的な葬儀に100%対応させるためには、このままのスタイルでは難しいところもあると思います。

神奈川県内の市民葬

実際に行われている市民葬の内容や費用は、どの程度なのでしょうか。ここでは、神奈川県で市民葬を実施している自治体を一部ご紹介します。

鎌倉市の市民葬

種類

料金

内容

A

201,300円

御棺、焼香枕一式、寝台霊柩車、ドライアイス(1日分)骨壺セット 他付属品

B

363,000円

上記A号に仏式祭壇が付属

(※令和4年4月1日現在のもの)

鎌倉市は、市民が適正な料金で葬儀を実施できることを目的として、地元の葬儀会社と提携した2つの市民葬プランを設定しています。

これらを利用するための条件は「故人様の住まい(住民票)が鎌倉市内、または葬儀を行うご親族が鎌倉市内に住んでいる」ことです。ただし別途、火葬料が必要で、式場については葬儀会社へ問い合わせて確認する必要があります

上記はAが火葬式プラン、Bが葬儀プランだと考えられます。シンプルでわかりやすい内容ですが、逆にシンプル過ぎて寝台霊柩車は「寝台車と霊柩車」が含まれているのか「あわせて1回分」なのかは確認が必要です。また、火葬場案内などの人件費も気になるところでしょう。

しかし、必要最低限のサービスは含まれているため、消費者にとっては自治体がこのように規定してくれるのはありがたいことに違いはありません。

別途必要になる火葬料は、以下の通りです。(鎌倉市民が利用する場合)

小坪斎場

・火葬料:60,000円

・控室:11,000円~19,800円

横浜市南部斎場

・火葬料:50,000円

・控室:12,000円

藤沢聖苑

・火葬料:80,000円(控室は火葬料に含む)

参考:鎌倉市/鎌倉市市民葬儀について

川崎市の市民葬

種類

基本料金

内容

規格A:一般葬

495,000円(税込)

・祭壇、棺、仏衣等内容具、遺体安置(2日)

・遺体搬送(2回:夜間対応を含む各20km以内)、骨壺一式、枕飾り、遺影写真

・受付事務用品、葬儀運営スタッフ、諸手続き代行

・火葬場案内スタッフ

規格B火葬式

209,000円(税込)

・棺、仏衣等内容具、遺体安置(2日)

遺体搬送(2回夜間対応を含む各20km以内)、骨壺一式、諸手続き代行

・火葬場案内スタッフ

(※令和4年4月1日現在のもの)

川崎市は、市民が適正な料金で葬儀を実施できることを目的として、市民葬プランを設定しています。故人様、もしくは施主が川崎市民であれば、こちらの市民葬プランを利用することが可能です。

2021年4月1日に50年ぶりの変更が行われ、新規格の内容となりました。「川崎市市民葬儀取扱指定店」として、市内各区の葬儀会社さん40社以上と提携しています。

基本料金以外に、火葬料と休憩室使用料が必要です。またオプションとして、以下のサービスを利用できます。

・式場使用料

・霊柩車による遺体搬送費用

・白木位牌

・後飾り 

・供花、供物

・宗教者謝礼

・飲食代(お通夜・火葬時)

・返礼品

など

なお、基本料金に含まれるサービスを利用しなかった場合でも、料金は減額されないため注意が必要です。

火葬式プランは鎌倉市と同程度のサービスですが、葬儀プランは大きく料金が違う印象があります。式場使用料は、葬儀会社ごとに幅があるため、事前確認が必要です。

参考:川崎市/市民葬儀制度について(ご案内)

厚木市の市民葬プラン

種類

料金

内訳

白木祭壇

(4段飾り)

398,000円

企画運営費一式、棺、骨壺一式、遺影写真、ドライアイス(1回分)、記録帳一式

線香ローソク焼香道具必要分、通夜告別式の司会進行各1人、寝台車(10km)2回

※位牌、礼状、生花・盛籠、写真着せ替え、ドライアイス追加は別途料金

※火葬料、式場使用料、お布施等宗教関係費用、飲食費用、マイクロバス等は別途料金

生花祭壇

(2段飾り)

468,000円

(※令和4年4月1日現在のもの)

厚木市は市内の葬祭業者と協定を締結し、定められた料金で安心して白木祭壇、生花祭壇で葬儀を行える市民葬プランを用意し、地元12の葬儀会社と提携しています。

故人様、または喪主が厚木市民であれば、上記市民葬プランの利用が可能です。内訳も細かく記載されており、葬儀費用のイメージもしやすいでしょう。ただし、ドライアイスや搬送料金などの追加分については、事前に確認しておく必要があります。

式場使用料は別途になっており、1日葬か2日葬かの違いはなく「葬儀プラン」と記載されているのみです。依頼する葬儀会社によって、同じ市民葬プランでも料金が変わるため注意しましょう。

参考:厚木市/市民の葬儀プランについて

まとめ

かつては、葬儀の費用を安く抑えるために、市民葬や区民葬は非常に有効でした。しかし近年、費用を抑えたプランを提供している葬儀会社も増えています。最低限のサービスしか含まない市民葬の場合、オプションが増え、結果的に一般的なプランよりも高くなるケースも散見されるため注意しなくてはいけません。

「自治体と提携している葬儀社だから安心だ」
「市民葬だから安いだろう」
「祖父の時に市民葬で葬儀をしたから」

「市民葬」という言葉には、安さと安心のイメージがあります。しかし、それにとらわれることなく、他社のプランも含め、慎重に検討することが大切です。

横浜市や川崎市で葬儀を行う際には、実績豊富なお葬式の杉浦本店にご相談ください。横浜市、川崎市における多くの葬儀実績があります故人様やご家族、ご親族の気持ちに寄り添った葬儀プランをご提案いたします。

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