納骨と埋葬は違う?!両者の違いと種類を紹介

2022.05.25

納骨と埋葬はしばしば混同されるケースがありますが、それぞれ若干意味が異なります。また、納骨や埋葬にはさまざまな種類があるので、どの方法で実施するべきか迷う方も多いでしょう。

そのため、故人様の弔いをきちんと行うためにも、正しい知識を身につけなくてはいけません。そこで今回は、納骨と埋葬の違いと種類などについて解説します。この機会に、正しい知識を身につけておきましょう。

納骨と埋葬の違い

まず、納骨と埋葬の違いについて解説します。微妙な違いがあるので、ぜひこの機会に覚えてもらえれば何よりです。

納骨とは

納骨とは、故人様のご遺体を火葬し、ご遺骨を骨壺へ納め、寺院や霊園に納める行為といわれています。納骨のタイミングは、四十九日法要が終わった後、納骨式を実施することが一般的です。

ただし、近年は納骨と埋葬を、葬儀の流れの中で同時に行うケースが多く、両者が同じものだと思われる要因になっています。

埋葬とは

埋葬とは本来、故人様のご遺体やご遺骨を土に還す行為です。つまり、火葬前のご遺体を土葬することや、火葬後のご遺骨を骨壺から出して土へ還すことも埋葬といえます。

したがって、骨壺へ入れたご遺骨を、お墓のカロートに納める行為は、厳密には埋葬ではなく埋蔵です。また、お墓ではなく納骨堂に納める行為は収蔵といえるでしょう。

しかしながら、現在では骨壺へ納めたご遺骨をお墓や納骨堂などへ納めることも含めて、広く埋葬と呼ぶことが一般的です。

納骨と埋葬の流れ

納骨と埋葬を行うためには、さまざまな手続きが必要です。本章では、一般的な納骨と埋葬の流れを紹介します。

一般的な納骨と埋葬の流れ

家族で納骨と埋葬を行う大まかな流れは、次の通りです。

1.死亡届の作成と提出

お近くの市役所や区役所、または自治体のホームページから死亡届の用紙を取得し、必要事項を記入して役所へ提出します。死亡届けは、故人様の死亡が確認された日から7日以内に提出しなくてはいけません。また、死亡届を提出しなければ、葬儀や火葬はもちろん、納骨や埋葬もできなくなります。

なお、死亡届と同時に死亡診断書の提出も必要です。ただし、死亡診断書は医師に発行してもらうものなので、病院にお願いして記載してもらいましょう。

2.火葬許可証の発行

役所へ死亡届と死亡診断書を提出すると、火葬許可証を発行してもらえます。このとき、火葬場の申請を求められる場合があるので、その際には役所の担当者や葬儀会社のスタッフに相談すればよいでしょう。

3.火葬場へ火葬許可証を提出

故人様のご遺体を火葬する火葬場へ、火葬許可証を提出します。火葬許可証を提出できない場合には、火葬を執り行えないため、確実に入手しておかなくてはいけません。

4.埋葬許可証の入手

故人様のご遺体を火葬した後、火葬場から火葬許可証が返却されます。この段階で、火葬許可証は埋葬許可証へと変化するため、引き続き大切に保管しておきましょう。

5.埋葬許可証を提出し埋葬を執り行う

故人様のご遺骨を埋葬する墓地や霊園に埋葬許可証を提出します。その後、埋葬を執り行う流れです。

納骨・埋葬方法の種類は5つ

一般的な納骨・埋葬方法を5つ紹介します。故人様やご遺族の希望にあわせ、最適なものを選ぶための参考にしてください。

1.お墓

もっともポピュラーな納骨・埋葬方法はお墓への埋葬です。日本では昔から広く行われる埋葬方法といえるでしょう。

永代使用料を支払って、お寺や霊園の土地にお墓を建て、戒名などが彫られた墓石の下に、故人様のご遺骨を納めることが一般的です。厳密には、墓石内のカロートと呼ばれるスペースに、骨壺の状態で故人様のご遺骨を納めます。

ただし、近年は遠方からのアクセスが困難な点や、お墓の跡継ぎ問題などの影響から、お墓以外の納骨・埋葬方法を選ぶ方が増加傾向です。

2.納骨堂

納骨堂とは、複数のご遺骨を納めるための場所です。公営のものや寺院、民間業者など公共の施設に、故人様のご遺骨を納めることになります。

広大な土地が不要な納骨堂は、都心などに建てられることが多く、ご家族やご遺族がアクセスしやすい点がメリットです。また、雨や風の心配もなく、ご遺骨を安心して納められる点も人気のポイントだといえるでしょう。

3.散骨

故人様のご遺骨を砕いて、野山や海などへ撒く散骨も、近年増加傾向にある埋葬方法です。自然を愛していた故人様のご家族などによく選ばれます。

散骨はすべてのご遺骨を撒くこともありますが、一部を残して手元で保管したり、霊園や保知に埋葬したりもできます。散骨は実施するための費用がほかの方法に比べ安価に済む点がメリットです。ただし、散骨する場所によっては、違法になる可能性もあるので、実施前に調査しておきましょう。

4.樹木葬

樹木葬とは、樹木を墓石に見立て、その下に故人様のご遺骨を埋葬する方法です。また、ご遺骨を埋葬する場所の周辺に、草木を植える方法も樹木葬といわれています。樹木葬では桜や紅葉など、シンボリックな樹木が選ばれることが多いようです。

自然が好きだった故人様に最適な埋葬方法といえる樹木葬は、継承者が不要な点と複数のご遺骨を同じ場所へ納められるため、費用を安価に抑えられます。また、ご遺骨は直接土へ還すので骨壺も不要です。

5.合祀(ごうし)墓地

合祀墓地とは、霊園やお寺が管理する墓地に、複数の方のご遺骨を納める埋葬方法です。

霊園やお寺が永代供養を代替してくれるだけでなく、日々の管理業務も行なってくれるため、お墓を持たないご遺族が利用しやすくなっています。少子高齢化の影響でお墓の後継者問題が深刻化している昨今、合祀墓地を選択されるご遺族が増加傾向です。

ただし、合祀墓地へ埋葬したご遺骨は返却不可のため、実施する場合には、慎重に判断する必要があるでしょう。

納骨や埋葬が必要な理由

そもそも、なぜ故人様のご遺骨を納骨したり、ご遺体を埋葬したりしなくてはいけないのでしょうか。実施義務の有無も含め、それぞれ解説します。

納骨は必ずしも実施する必要はない

納骨を必ずしなくてはいけないという法的な義務はありません。したがって、納骨をしなくても罰せられることはなく、合法といえます。しかし、結論から言うと、いずれかの段階でご遺骨の納骨を行う必要があるでしょう。

「墓地、埋葬等に関する法律」という法律には埋葬に関するさまざまなルールが定められており、自宅の庭などにお墓を作る行為は禁じられています。一方、納骨を行う期限などについては一切規定されていないため、自宅でご遺骨を保管することは問題ありません。

しかしながら、自宅で保管しているご遺族がいなくなった場合には、他のご遺族などへ継承する必要があります。このとき誰も継承者が現れないと、ご遺骨は無縁墓に納められることが一般的です。そのため、いずれかの段階できちんと納骨を行うべきでしょう。

また、骨壺に納められたご遺骨は、湿気や温度などの影響を受け、まれにカビが生える可能性があります。大切な故人様のご遺骨を衛生的に保つためにも、早めに納骨を済ませておくと安心です。

埋葬が必要な理由

戸籍法86条には、人が亡くなった際、同居の親族、その他の親族、家主などの順番で、死亡届を提出しなくてはいけないと定められています。よって、同居する家族には、故人様のご遺体を埋葬する義務があると見受けられます。しかしながら、強制力はないので、もしご遺体を埋葬しなくても罪に問われることはないでしょう。

しかし、故人様のご遺体を放置した場合、衛生的な心配はもちろん、外部に放置した場合には動物などにご遺体を荒らされる可能性もあります。したがって、故人様の尊厳を守るためにも、埋葬が必要と考えることが普通でしょう。

まとめ

納骨と埋葬はほぼ同じ意味で使われていますが、厳密には違うものであることが理解いただけたと思います。また、近年はお墓以外の埋葬方法もたくさんあり、より故人様やご遺族の意思を尊重した形で実施できるようになりました。

大切な故人様のご遺骨を納め、きちんと供養するためにも、最適な納骨・埋葬方法を選択しましょう。なお、納骨・埋葬方法に関しては、葬儀会社に相談することがおすすめです。

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