お布施の書き方や入れ方(包み方)、渡し方を解説
2023.10.23
葬儀や法事・法要を行った際、僧侶に渡すお布施には、どのような意味があるのかをご存じでしょうか?実際には「なんとなく渡さなければいけないもの」という認識の方も多いかもしれません。
お布施には仏教を背景とした意味があります。また、お布施の書き方や入れ方(包み方)、僧侶への渡し方には、それぞれ適切とされるマナーもあるため把握しておくことが大切です。
そこで今回は、お布施の意味や書き方や入れ方、渡し方をご紹介します。
お布施の意味
お布施には、どのような意味があるのでしょうか。ここでは、お布施の意味と種類について解説します。
お布施とは
お布施とは、仏教の謝礼の1つで、僧侶に対して渡す金品のことをさします。お布施は、読経や戒名を頂いた謝礼として渡すことが一般的です。葬儀だけではなく、四十九日法要や納骨・お墓の開眼、お盆の法要、一周忌などの法事・法要の際も、僧侶に読経してもらった場合はお布施を準備しなくてはいけません。
またお布施には、僧侶に渡す対価としての金銭という意味だけではなく、人に物を施し恵むという意味もあります。お布施はご本尊に捧げられが、寺院の大事な費用になるため、僧侶に対する感謝の気持ちとともに寺院への謝礼にもなります。
お布施の種類
お布施には、財施(ざいせ)・法施(ほうせ)と呼ばれる2つの種類があります。
財施は、自分が持っているものを他人に無条件で施すことを意味し、お金や品々を分け与えることが一般的です。法施は、僧侶が信者から食べ物の施しを受け、そのお返しに仏教の教えを説くことをさします。
なお、お布施は「支払う」という表現を使わず、「包む」もしくは「納める」という表現を使うのがマナーです。
お布施の書き方
お布施の書き方には、マナーがあります。まず、お布施の封筒に書く文字には、黒墨を使用するのがマナーです。香典は薄墨で記入するのが一般的ですが、薄墨は悲しみの涙を表現するため、僧侶に渡すお布施には使用しません。
筆や筆ペンで記載することが望ましいですが、住所など多くの文字を書くため黒のボールペンを使用しても失礼にはあたりません。文字がプリントされた封筒もありますが、手書きで書くことが望ましいでしょう。
またお布施の書き方は、中袋、上包み、また中袋がない封筒の場合に、それぞれにマナーがあります。ここからは、それぞれの書き方を確認しておきましょう。
中袋の書き方
お布施の中袋には、包んだ金額と喪主の住所・名前を記載します。もし、備え付けの中袋に電話番号の記入欄がある場合は、そちらにも記載しましょう。
包んだ金額は、中袋の表面に縦書きで記載します。その際、旧字体で記載するのがマナーです。例えば、2万円を包む場合は「金弐萬圓也」と記載します。喪主の住所・名前は、中袋の記入欄に記載しましょう。記入欄がない場合は、裏面の左下に記載します。
上包みの書き方
お布施の上包みには、表面の中央の上段に「お布施」、下段には喪主氏名を記載します。すでに印字されている封筒を使用している場合は、「お布施」と印刷されている下に喪主の氏名を記載しましょう。
なお「お布施」は「御布施」と記載しても問題ありません。また喪主の氏名は苗字だけ、もしくは「〇〇家」という記載方法でも大丈夫です。
中袋がない封筒を使用する場合の書き方
中袋がない封筒を使用する場合も、記載内容に大きな違いはありません。封筒表面の中央の上段に「お布施」、もしくは「御布施」と記載し、下段には喪主の氏名を記載します。
裏面の左下には、住所と包んだ金額を記載しましょう。住所の書き方や金額の書き方は、中袋の書き方と同じです。
お布施の入れ方(包み方)
お布施は奉書紙、もしくは封筒に包んで渡すのがマナーです。しかし、多くの方は封筒で渡すことが多いと思います。市販されているお布施用の封筒を用いることがほとんどでしょう。葬儀の際などは用意するまでの期間が短く急なことも多く、奉書紙を準備できないためです。
しかし、適切なマナーを守れば、失礼にはあたらないためご安心ください。ここでは、お布施の入れ方(包み方)をご紹介します。
奉書紙で包む場合
まず、正式なマナーである、奉書紙を使ったお布施の包み方を解説します。
奉書紙とは
奉書紙とは白い和紙のことで、葬儀では弔辞を書く際の用紙や香典を包む用紙などに用いられています。文房具屋や書道用品を扱っている店・神具店をはじめ、ネット通販でも購入することが可能です。
半紙などの和紙に比べ、紙の厚さがしっかりしているのは特徴です。お布施を奉書紙に包んで渡す場合は、直接お金を包むのではなく、中袋(中包み)を用意する必要があります。中袋となる白い封筒や半紙にお金を包み、上袋となる奉書紙で包み渡すのがマナーです。
奉書紙でお布施を包む手順
奉書紙には裏表があります。裏面に中袋を置き、表面が表面にくるようにしましょう。裏表の判別の仕方は、半紙と同じようにざらざらしている面が裏面、つるつるしている面が表面です。1枚の用紙である奉書紙を折りたたみ、中袋を包みます。
奉書紙を使ってお布施を包む手順は、以下のとおりです。
1:奉書紙を横の長辺が長くなるように置く。その際、裏面を上にする
2:用紙を左側が上、右側が下になるように、少し斜めに奉書紙を置く
3:奉書紙の中央よりもやや右寄りに、中袋を置く。
4:上下の位置は奉書紙の中央に置き、中袋の上下の幅にあわせて上下の部分を折りたたむ
5:奉書紙の左側を、右下の角が中袋の左側になるまで折りたたむ(用紙が斜めになっているため、奉書紙左側の短編を垂直にせず、4で折った上のラインに合わさるように折る)
6:中袋の左側にあわせて、奉書紙の左側を折りたたむ
7:中袋の右側にあわせて、奉書紙の左側を折りたたむ
8:残った部分を左側に沿って裏に折りたたむ
中袋を半紙で包む場合も、同じように中袋の部分をお札に置き換えて折りたたみましょう。
封筒に包んで渡す場合
お布施を封筒で包む場合は、封筒の選び方と中袋の扱いに注意しなくてはいけません。
お布施を包む封筒を選ぶ2つのポイント
封筒に包んで渡す場合に注意したいのは、封筒の選び方です。近年、中袋付きのお布施用の封筒が、店頭やネット販売などで入手できます、そのため迷った場合は、そちらを購入するのがおすすめです。
もし専用の封筒がない場合は、白い無地の封筒を用意しましょう。なお、その際に気を付けたいポイントが2つあります。
1つ目は、郵便番号の記入欄がない封筒を選ぶことです。郵便番号の記入箇所がある封筒を選択するのは、マナー違反のため注意しましょう。
2つ目は、水引が付いていない封筒を選ぶことです。香典の封筒は水引付の封筒を使いますが、お布施は僧侶に渡すものであるため「不幸を追い払う」ことを意味する水引封筒は必要ありません。
中袋の扱いについて
お布施を封筒で包む場合も、中袋を使用するのが一般的です。なお、中袋がない白い封筒の場合、中袋を準備する必要はありません。封筒を重ねることが「不幸を重ねる」という印象を与えてしまうため、封筒は二重に重ねないようにしましょう。
ただし、中袋付きの封筒や奉書紙で包むときに、中袋が封筒の形をしていた場合は、二重封筒とはみなされないため安心してください。
お金の入れ方
中袋、もしくは封筒にお金を入れる際は、表面・上向きで入れます。また、お布施に使用するお札は、新札を用意するのがマナーです。
しかし、葬儀などで急に必要になった場合は、間に合わないこともあると思います。そのような場合は、可能な限りシワや汚れが少ないものを選ぶようにしましょう。また、香典とはお札を入れる向きやマナーが異なるため注意が必要です。
お布施の渡し方【適切なタイミングとマナー】
葬儀や法事・法要で渡すお布施には、渡すタイミングや渡し方のマナーがあります。ここでは、お布施を渡す適切なタイミングとマナーを確認しておきましょう。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングは葬儀、もしくは法事・法要がはじまる前、僧侶に挨拶を行う際に渡すのが一般的です。ただし、来客の関係や当日の流れによっては、事前に挨拶ができない場合もあるでしょう。その際は、焦らず葬儀や法事・法要後に渡せば問題ありません。
なお、お布施の封筒を直接僧侶に手渡しすることは、マナー違反です。そのため、切手盆にのせて渡す、もしくは袱紗から取り出しで渡す必要があります。
ここからは、それぞれの方法でお布施を渡すときのマナーをご紹介します。
切手盆にのせて渡すときのマナー
お布施を僧侶に渡す場合は、袱紗に包んだ状態で切手盆にのせて渡すのが、もっとも丁寧な方法です。しかし近年は、よほど大きな金額でない限りは、袱紗から出した状態で切手盆にのせて渡すことが多いでしょう。
切手盆とは、小さな黒塗りのお盆です。持参することも可能ですが、持っていない場合は、葬儀会社などに準備できるかどうかを事前に確認しておくとよいでしょう。
切手盆を使用する場合は、自分の向きにあわせお布施を置き、その後両手で切手盆を持ち右回りにぐるりと回します。そして、僧侶の正面からそっと差し出しましょう。
袱紗から取り出して渡すときのマナー
切手盆がない場合は、お布施を袱紗から取り出して渡します。その際、袱紗は明るい色のものではなく、暗い色や寒色の袱紗を使用するのがマナーです。
渡す際には、僧侶の前で袱紗からお布施を取り出し、袱紗の上にお布施を乗せて僧侶に差し出します。このとき、僧侶の正面になるように、差し出すことを忘れないようにしましょう。
なお、お布施のマナーについての詳細は、以下の記事もあわせてご確認ください。
関連記事:『お布施とは?さまざまなマナーや黄白のお布施袋、封筒の選び方などについて解説』
まとめ
お布施は、葬儀や法事・法要で僧侶に渡す金銭です。お布施には仏事への謝礼としての意味や、恵みを施す意味があります。
お布施に文字を書くときは、黒墨を使用するのがマナーです。また、奉書紙を使って包む方法や、封筒を使用する方法があります。中袋や水引にも注意が必要です。
お布施を渡すタイミングは葬儀や法事が始まる前が一般的で、切手盆や袱紗から渡す際のマナーにも気を付けましょう。
大切な儀式におけるお布施は、心のこもった感謝の意を表す大切な行為だといえます。書き方や包み方それぞれにマナーがあり、難しいと感じてしまう方も多いかもしれません。
本記事が少しでも皆様のお役にたてれば何よりです。
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