お墓を購入する場合の値段相場は?多くの変動要素が影響
2022.04.06
「お墓を建てる際の費用や相場を知りたい」
「お墓を建てるところから納骨までの流れを知りたい」
「自分の希望する形や石で建てられる?」
お墓の購入は通常、初めての方がほとんどです。そのため、不安や疑問を持つことは仕方のないことだと思います。
しかし、お墓を建てた後に「もっとこうしておけばよかった」と後悔したり、他の方の墓石を見て「こんなこともできたのか……」と後悔したりすることは避けたいところでしょう。
そのため、お墓を購入する際は、複数の石屋さんと詳しく打合せを行うことがおすすめです。そこで今回は、石屋さんとの打合せをより有意義なものにするために、お墓の値段相場や値段が変動する理由などを解説します。ぜひ有効活用してください。
お墓の値段相場
お墓を購入する際、まず気になるのは値段でしょう。しかしお墓は、墓石の値段が不明瞭なため、どれくらいの値段になるのかわかりづらい部分があることも事実です。そこで本章では、墓石の値段が不明瞭な理由と一般墓の平均購入価格を紹介します。
墓石の値段が不明瞭な理由
墓石の値段が不明瞭な理由は、お墓がオーダーメイドで作られるケースが多いからです。石屋さんのホームページ上でも墓石を購入できます。しかし、墓石を作るためには原料となる石材以外にも費用が発生するため、オーダー内容によって値段が変動することが普通です。
そのため、お客様の混乱を避けるために、あえて墓石の値段を表記しない石屋さんも多くあります。なお、墓石の値段が変わる具体的な理由は、後程詳しく紹介します。
一般墓の平均購入価格
「いいお墓」が2022年1月に実施した「第13回 お墓の消費者全国実態調査(2022年)」の結果によると、一般墓の平均購入価格は158.7万円ということです。ちなみに、前年の2021年の調査では169.0万円だったので、若干相場が下がっていることがわかるでしょう。
ただし一般墓の平均購入価格は、購入する地域などによっても大きく変動するため、ご自身の予算と相談し、無理のない範囲で購入できるものを選ぶことが大切です。
参考:いいお墓/第13回 お墓の消費者全国実態調査(2022年)
お墓の値段が変わる大きな3つの内訳
お墓の値段が変動する要素は、大きく3つあります。墓石の費用と永代使用料、そして墓地・霊園の管理料です。それぞれについて解説します。
墓石の費用
お墓の値段が変わる内訳の1つが墓石の費用です。墓石は本体以外に、納骨棺(カロート)や外柵、施工の費用が発生します。したがって、墓石の種類や大きさ、オプション費用、施工費、加工費などによって大きく変わることが一般的です。
永代使用料
お墓の値段が変わる内訳の2つめが永代使用料です。永代使用料とは墓地や霊園の中にある土地を、墓所として使用できる権利になります。永代使用料は土地を購入するのではなく、あくまでも墓所として使える権利を有するために費用が発生する点がポイントです。
基本的には墓石の費用と永代使用料を合わせたものが、お墓の基本的な値段と考えてよいでしょう。永代使用料は、墓地や霊園のある地域や場所によって大きく変動します。
墓地・霊園の管理料
お墓の値段が変わる3つめの内訳が、墓地・霊園の管理料です。永代使用料は土地を利用するために支払う費用であり、墓地や霊園の管理には別途管理料が発生します。
霊園にはお墓以外にも、トイレや水道といった公共施設をはじめ、電気代や清掃費といった維持、管理費が継続的に必要です。そのためお墓を購入した後も、墓地・霊園の管理料を定期的かつ継続的に支払わなくてはいけません。
なお、墓地・霊園の管理料の相場は1万円程度だといわれています。ただし、寺院が管理する霊園の場合、お布施を要求されるケースもあるため注意しましょう。
お墓の値段が変わる要素
次に、お墓の値段が変わる具体的な要素を紹介します。たくさんの要素があるので、ひとつひとつ確認していきましょう。
石の種類・産地
お墓の値段が変わる1つめの要素が石の種類と産地です。お墓の原料となる石は大きく日本の石と外国の石の2種類があります。それぞれについて解説します。
日本の石
日本の石は、現在では希少価値が上がり、価格が高くなっています。日本の春夏秋冬の風土に耐えてきた石ということもあり、耐久性があることが特徴です。そして、国産という安心感が得られることもメリットだといえるでしょう。
石材は天然の資源です。したがって人工化合物とは異なり、まったく同一のものはないことを理解しておく必要があります。そのため、写真や資料を見て決めるのではなく、実際の石を見て検討するべきです。
例えば、雨が降った日には石が水を吸水しているので、雰囲気が大きく変わります。雨が降っている日にお参りに行って、石の色が変わったことに驚く方がいるのはこれが理由です。
外国の石
インド、中国、韓国、南アフリカ、アメリカ、スウェーデンなど、外国にはたくさんの種類の石材があります。特にインドの石は耐久性に優れ、見た目においてもどこか神秘的な魅力を持つことが特徴です。
また、黒系の石がたくさんあり、硬度が高く耐久性にも優れています。ごく一部ですが、供給量が安定しているインドの石を紹介するので参考にしてみてください。
1-H(インド緑)
M1-Hは緑色の石の中では最もポピュラーで、よく使われている石材です。黒色の目に深い緑系の小目が多く混ざり、大変美しく落ち着いた印象を与える石目が特徴といえます。
非常に硬く、光沢もよく艶も長持ちし、和型、洋型どちらの墓石にもよくあう高級石材です。
塩害にも強く変色をおこしづらく、海の近くにお墓を建てる方には特におすすめといえます。
インド クンナム
インド クンナムはインドを代表する高級黒御影石として人気のある石です。世界で最も硬い石のひとつともいわれています。耐久性が高く、かつ水を吸いにくいため、何年経ってもまったく劣化しない石といえるでしょう。
ニューインペリアルレッド
世界で最も赤い石と呼ばれているニューインペリアルレッドは、硬度が高くあまり水を吸わない石質のため、劣化しにくく丈夫な点が特徴です。ニューインペリアルレッドで建てたお墓は、その色合いから非常に存在感があります。
とても目立つので、自分のお墓が見つけやすいのもメリットです。赤い色が好きな方、赤いお墓を建てたい方におすすめの石種といえるでしょう。
M10
緑系黒御影、Mシリーズの中で量的にも安定して採石できる石種がM10です。1995年ごろから本格的に採石が始まり、インド黒系の石の中では安価な石ですが、耐久性にも優れ、なおかつ艶もあります。
お墓の種類・形
お墓の値段が変わる2つめの要素は、種類と形です。
近年、お墓の種類や形は多様化しています。伝統的な和風のお墓ばかりではなく、洋風のおしゃれなお墓や、オリジナルデザインのお墓を選ぶことも可能です。本章では代表的なお墓の種類・形を紹介します。
和型墓石
和型墓石は、伝統的な縦長のお墓です。彫刻する正面文字も「横浜家之墓」や「先祖代々之墓」など、よくみかけるものが多いと思います。
和型暮石は側面に故人様の文字彫刻が可能な点が特徴です。戒名、没年月日、俗名、年齢の4つを刻みます。
上記写真のお墓が五輪塔です。丸い飾りのようなものがついた三角形の屋根の下に、球形と四角形の石が連なっているものが、五輪塔型墓石と呼ばれています。
てっぺんの丸い飾りにも意味があります。上から宝珠形が「空輪」、半月形は「風輪」、三角形は「火輪」、球形は「水輪」、方形が「地輪」ということで、自然界の5大要素を表現している点が特徴です。五輪塔型墓石は鎌倉時代から、武家や有力者などのお墓によく使用してきました。
洋型墓石
洋型暮石は横に長く背が低い、すっきりしたデザインのお墓です。洋型墓石の中には、その特徴的な形に名前が付けられているものがあります。
・オルガン型
ただの横長ではなく、名前を彫りこむ前面を斜面にした洋型墓石は、オルガン型と呼ばれています。洋型墓石は背が低いので、正面を斜面にすることで、彫刻された文字が見やすくなることがメリットです。
・ウォール型
洋風のすっきりした趣を残しながらも、竿石部分を縦長にした洋型墓石が、ウォール型と呼ばれています。横長の墓石ではスペースを取ってしまうような場合に、省スペース型として利用が可能です。
・プレート型
芝生型の墓地などに、直接名前が刻まれたプレートを埋め込んであるものが、プレート型の洋型墓石です。使用する墓石の量が極端に少ないため、他の形に比べて安価な点が特徴です。
デザイン墓石
各石材店が独自に開発したり、オリジナルデザインを発注したりして作られる墓石をデザイン型と呼びます。基本は洋型墓石ですが、上部が波打つようなデザインになっているものなどが代表的です。ちなみに、上部の仕上げ方を変えるだけなので、デザイン墓石の中では安価で済みます。
一方、オリジナルデザインの彫刻を施した墓石も、デザイン墓石のひとつです。文字彫刻はさまざまな彫り方があります。例えば、バラのイラストを立体的に入れて欲しいなど、ご要望があれば、立体彫りという形で花びらをリアルに再現して浮き出るような彫刻も可能です。
さらに、色の違う墓石を組み合わせることもできます。これもデザイン型の一つです。
石を2種類使用し、バランスよく墓石を組み合わせることで、上品さを演出できるでしょう。墓石の材質によっては組み合わせられないものも多いため、自分で好みの石や色味を1から検討するより、石材店が提案するデザインの中から選ぶことが一般的です。
お墓の基礎工事費
基礎工事費は、お墓の値段が変わる3つめの要素です。
基礎工事費とは、墓石を霊園に設置するための工事費です。墓地のある環境や墓石の大きさなどによって、工事費は大きく変動します。ただし、一般的なレベルの基礎工事費用は、墓石代に含まれることが普通なので安心してください。
お墓は長い期間、雨や風にさらされるものなので、地盤や周囲の環境に合わせて最適な処理を施しておく必要があります。
石の量と加工費
基礎工事費は、お墓の値段が変わる3つめの要素です。
基礎工事費とは、墓石を霊園に設置するための工事費です。墓地のある環境や墓石の大きさなどによって、工事費は大きく変動します。ただし、一般的なレベルの基礎工事費用は、墓石代に含まれることが普通なので安心してください。
お墓は長い期間、雨や風にさらされるものなので、地盤や周囲の環境に合わせて最適な処理を施しておく必要があります。
石の量と加工費
お墓の値段が変わる4つめの要素は、石の量と加工費です。
大きな石を使ったお墓は、やはりそれだけ値段も高くなります。また、墓石の加工を国内か国外で実施するかによっても、値段が変動するので覚えておきましょう。
現在、ほとんどの墓石は、中国で加工されています。国内で墓石を加工すると、かなり値段が高くなるので注意が必要です。
墓石の彫刻費用
墓石に戒名などを彫刻する費用も、お墓の値段が変わる要素のひとつです。
一般的な戒名を彫刻する場合は、3万円~5万円程度の費用で済むでしょう。しかし、墓石の正面に彫刻を施す場合は、少なくとも10万円の費用が発生します。
さらに、凝ったデザインや細かい模様を彫刻する場合は、さらに値段が高くなり、お墓の値段もどんどん高くなります。とはいえ、彫刻はお墓の印象を決める重要なポイントなので、どのあたりで手を打つかはコストとの見合いになってくるでしょう。
お墓周りの飾り
お墓の周囲に配置する外柵や、周囲の飾りの量によっても、お墓の値段は変動します。
墓石の両端に置く花立や水鉢をはじめ、香炉や故人様の名前を彫った墓誌なども、質と量によってはお墓の値段に大きな影響を与えるでしょう。必要最低限の飾りに留めることが、お墓の値段を安く抑えるポイントです。
耐震・免震工事の費用
お墓の値段が変わる最後の要素が、耐震・免震工事の費用です。地震大国である日本においては、お墓の耐震・免震対策が欠かせません。
お墓を長期間維持しなくてはいけないものなので、耐震・免震工事をしておけば安心も長く続くでしょう。また、耐震・免震工事をしなかった結果、地震による被害から復旧させる必要のほうが高くつくことも予想されます。
霊園や墓地の地盤状況や周囲の環境を鑑みたうえで、耐震・免震工事が必要かどうかを慎重に検討しましょう。
お墓を購入するときに見逃しやすい注意点
お墓を購入するときには、以下2つのポイントに注意が必要です。購入前に必ず確認しておきましょう。
ポイント1.新しい墓地の立地の問題
お墓を建てる場所の立地は、非常に大切です。
例えば、近くに海があると墓石に潮風があたり、早い段階で変色してしまいます。そのため、塩害に強い石を選ぶことが必要です。また、お墓を購入された方が年を重ねたとき、駐車場からお墓までが遠く、坂や階段があるとお参りが大変になってしまう点も念頭におくべきでしょう。
そして、墓地の見学をする場合は、雨の日がおすすめです。園内の水捌けを知るためには、雨の日が適しています。普通、雨の日にお墓参りはしませんが、水捌けが悪く、カロート(お骨室)内が水で溢れてしまうようなことは避けたいので確認しておいたほうがよいでしょう。さらに、雨が降ると墓石の色が変化する石もあるため併せてご確認下さい。
ポイント2.園内の管理が行き届いているか?
園内の芝や植木の手入れ、管理事務所などが清潔に保たれているかどうかは、重要なポイントです。
また、事務所の方の態度や言葉遣いは丁寧かという点も、見逃してしまうことも多いため確認しておくべきでしょう。今後の手続きは、すべて管理事務所の方に相談します。そういったときに気持ちよく相談できるか、他の方に対応をされているところを見てご確認下さい。
自分たちの条件にあったお墓選びとは
お墓を建てるときには、自分達の条件にあったお墓選びをします。一般墓や納骨堂、樹木葬、永代供養墓、散骨など、たくさんあるタイプの中から、どれが自分達の条件を満たすものか資料などを見て検討することが一般的です。
最近では、お墓を新規購入されることについての考え方が少し変化してきています。以前までは、お墓を建てたら子どもが後を継いでくれることが前提でした。しかし最近では、最初から墓じまい(改葬)をすることも想定しながら、お墓を検討されるケースが多くなりました。
こういった時代の流れで、色々な条件に寄り沿ったプランを提供する霊園が増えている状況です。
例えば、通常の霊園は年間管理料を毎年支払い続けていくことがほとんどですが、管理費を最初に一括で支払い、その後の管理料は請求されない(子どもに負担をかけない)タイプのものがあります。承継者がいなくなり、最後の使用者がお亡くなりになった日から30年間はお墓が存続し、30年経過した後、ご遺骨を合祀墓に埋蔵するシステム(墓石撤去費用も含まれている)です。
このプランのメリットは、お墓を次の世代に承継した際、管理料を支払わなくてよいため、承継者の負担が少ない点でしょう。ただし最初の契約時に、永代使用料と一括管理料(例60年分)、墓石代金を支払う必要があるので、大きな金額が発生する点がデメリットです。
このほかにも「有期限の夫婦墓」(夫婦2人だけ)や有期限の家族一世帯型だけなど、今は一般墓にもさまざまなタイプがあるので、自分達の条件に合うプランを検討してみて下さい。
まとめ
今回は一般墓について掘り下げてみました。世の中の流れによって、樹木葬や納骨堂といった新たな形も増えていますが、墓石の人気も根強いです。
やはり石が持つ神秘的な魅力があるからではないでしょうか。お墓探しはご家族と検討し、できれば全員で納得するお墓に決めましょう。さまざまな形やデザインがあることを知れば、きっと楽しくお墓を選ぶことができますよ。