ご遺族の心を癒すグリーフケアとは?具体的な実施方法を知ろう

2022.05.25

大切な方を失った悲しみは簡単にはいえません。そのため、近年グリーフケアと呼ばれるご遺族をサポートする取り組みが注目を集めています。

ご家族の悲しみを癒し、日常を取り戻してもらうための手法としてグリーケアは非常に有効です。そこで今回は、グリーフケアがどのようなものか、具体的な実施方法も含め解説します。

グリーフケアとはどのようなケアなのか?

そもそもグリーフケアがどのような取り組みなのか、概要やメリットなどについて解説するので確認しておきましょう。

グリーフケアとは

グリーフケアとは大切なご家族を失った方の悲しみや喪失感を癒す行為です。グリーフケアを通じて、ご家族の悲しみを癒し、日常生活に戻ってもらうことが目的とされています。

ヒトは大切な方との死別を経験することによって、多くの感情があふれ出すことに気づくものです。しかし一方で、自分がおかれた状況から立ち直りたいという想いも存在します。その結果、2つの相反する想いの中で葛藤が生まれ、非常に不安定な状態に陥り、心と身体に不調が現れる場合があるのです。

この状態をグリーフ(悲しみ、悲観、嘆き)と呼びます。ヒトはグリーフ状態に陥ることで、悲しみや怒り、喪失感、憤り、後悔、愛おしさなど、さまざまな感情に苛まれるでしょう。そのため、ご家族やご親戚、ご友人などがさりげなく寄り添って、グリーフケアを行うことが必要なのです。

グリーフケアの必要性

グリーフ状態の方を放置すると、心身にさらなるダメージを負う可能性があるため、早めのサポートが必要でしょう。

そもそも、多くの方は大きな悲しみに対する準備ができていないことが一般的です。そのため、自分ひとりでグリーフから立ち直ることは非常に困難です。

また近年は、地域のコミュニティが希薄化したことや核家族化が進んだことで、周囲の方が気にかけてあげないと孤立する方も多くなっています。その結果、社会的にも苦しい状況に陥るため、グリーフの影響と重なり、最悪の場合、犯罪や自殺などにつながる可能性もあるでしょう。

したがって、大切な方をなくした悲しみを共有できる理解者が、傍らでサポートするグリーフケアが必要だといえるのです。

グリーフケアの実施メリット

グリーフケアの実施メリットは、大切な方を亡くしたご遺族の悲しみを和らげ、安心感を得てもらえることです。心身の不調に陥ることを抑制し、日常の生活に早く戻れる可能性が高くなるでしょう。

グリーフ状態の方は、やりどころのない感情を第三者に話すことで、自分を客観的に見直せるきっかけとなり、気持ちが楽になるケースが多いです。

一方、グリーフケアに携わるご家族やご親戚、ご友人側にもメリットがあります。グリーフケアに携わることで、これまで知らなかった気持ちを知ることが可能です。その結果、疎遠だった家族や親戚との、新たな関係性を築くきっかけになり得るでしょう。

グリーフ状態における3つの症状と事例

グリーフケアを実施するためには、グリーフ状態について一定の知識を得ることが必要です。本章ではグリーフ状態における3つの症状と、それぞれの事例を紹介します。

これら3つの症状はグリーフケアによって和らげることができますが、何らかのきっかけによって、グリーフがフラッシュバックすることがあるため、長期的に取り組むことが大切です。

1.精神的な症状

グリーフ状態に陥った方は、精神が非常に不安定になります。故人様に対する恋しさの感情をベースに、怒りや恐怖、不安といった気持ちが入り乱れる状態に陥るでしょう。

その一方で、さまざまな想いが入り乱れた結果、感情が麻痺するケースも散見されます。故人様を亡くしたことで孤独や寂しさを感じることはもちろん、やるせなさや罪悪感、自責感、無力感といった、ネガティブな感情が芽生えることもグリーフ状態の特徴です。

2.身体的な症状

グリーフ状態になった方には、精神だけでなく、さまざまな身体的な不調も現れます。

例えば、睡眠や食欲障害をはじめ、体力の低下などをきたし、健康状態の悪化が進むでしょう。また、疲労感や頭痛、肩こり、めまい、動悸などが定常化する可能性があり、早めにケアをしないと、大病につながるリスクがあります。白髪が増えたり、自律神経失調症になったりする方も多いでしょう。

さらに、アルコールなどへの依存症が現れるケースもあるので、周囲の方による早めのサポートが重要です。

3.生活や行動の変化

グリーフ状態に陥った方には、うつや引きこもりなどの症状が現れることがあります。以前はしっかりしていた方が、ぼーっとしたり突然泣いたりする機会が増える点が特徴です。

さらに、普段生活しているときにも、落ち着きがなくなったり、自分でものごとを決められなくなったりするなど、行動の変化がみられるようになります。やたらと動きまわって、さまざまなアクションを起こそうとする方もいるようです。

グリーフケアの実施方法

グリーフケアを実施するために必要な手順と、具体事例を紹介します。実際にグリーフケアに取り組もうとする方は、事前に内容を確認しておきましょう。

グリーフケアを行うために必要な手順

グリーフケアを実施する際には、以下3つのステップで進めることが大切です。

ステップ1.グリーフに関する知識を取得

まず、グリーフ状態に陥った方に、どのような症状が現れるのかについて学びましょう。前述した3つの症状や、それらが現れる期間といった、グリーフに関する情報を十分に取得しておくことが最初のステップです。

ステップ2.悲しみの解放

グリーフ状態の方には、自身の悲しみを理解してもらえる存在が必要です。グリーフ状態から立ち直るためには、自身の感情を棚卸して理解する作業が欠かせません。そのため、安心できる環境を準備して悲しみを開放させて、それを受け止めてあげることが重要です。

ステップ3.周囲に頼ってよいことを伝える

グリーフ状態から一人で立ち直ることは困難です。そのため、第三者に頼ってよいことをご本人に伝えてあげる必要があります。本人が意固地になっている場合には、ご家族やご親戚、ご友人の方から、歩み寄ってあげることも大切でしょう。

グリーフケアの具体例

グリーフケアにはさまざまな方法があります。本章では代表的なグリーフケアの方法を紹介するので、トライしやすいものからはじめてみてはいかがでしょうか。

一般的なグリーフケアで実施するべきこと

グリーフケアを行う際には、悲しみを否定するのではなく、肯定することが第一歩といえるでしょう。悲しみを抑え込むのではなく、解放してあげることが大切です。

故人様への想いを言語化し、多面的に捉えるために、ときには思い出を語ることも必要でしょう。その際には、写真や思い出の品などを準備しておくと、スムーズに進めやすくなります。

ただし、グリーフが深い場合には、周囲の方だけで受け止めてあげることが困難な場合も想定されます。その場合には、遺族の会など、同じ悲しみを抱えた方々と交流してもらうことで、グリーフを乗り越えてもらうきっかけを与えることも必要です。

専門化へ相談

グリーフケアの知見を持つ、グリーフケアアドバイザーやカウンセラーといった専門家に依頼することもひとつの方法です。専門家によるカウンセリングを受けることで、グリーフ状態の改善につながる可能性があります。

また、病院によってはグリーフケア外来を準備しているところもあるので、そちらを活用してみてもよいでしょう。

体験会に参加

全国で開催されているグリーフケアの集会や体験会に参加してみることも効果的です。同じ想いを抱える方と気持ちを共有することは、グリーフケアにおいて重要なポイントです。

ご家族やご遺族、ご友人から本人へ体験会などへの参加を促してあげましょう。公開講座を行っている場合もあるので、積極的に活用してください。

参考:悲嘆回復ワークショップ

書籍を活用

専門家や各種協会からグリーフケアに関する書籍が多数出版されています。「グリーフケア 書籍」で検索すれば、かなりの数の書籍がヒットするので、ご自身にあったものを見つけて参考にしてみてはいかがでしょう。

また、グリーフケアにはハウツー本だけでなく、小説なども効果があるので、いろいろなものを試してみることをおすすめします。

まとめ

大切な方を亡くした悲しみは、簡単には癒せません。そのため、周囲のご家族やご親戚、ご友人がグリーフケアを実施して、早めに日常生活に戻してあげることが大切です。また、グリーフケアの経験は当人だけでなく、周囲の方にとっても、今後同様の事態が起きた際、存分に活かせることでしょう。

今回紹介した内容が、グリーフケアに取り組む参考になれば何よりです。

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