【宗派・宗教別】お葬式の焼香のやり方や回数を解説

2022.08.16

お葬式に参列する際には、必ず焼香を行います。焼香のやり方や回数は、宗派や地域によって違いがあるので、お葬式に参列する度に困っている方も多いかもしれません。

そのため、我々葬儀会社もお客様から焼香についての質問を受けることも多いです。そこで今回は、焼香のやり方や回数を宗派ごとの違いも含め解説します。

お葬式の焼香とは

焼香とは、法要や葬儀で香を焚き、故人様や仏様を拝む行為です。香炉に粉砕した香を入れて焚きます。

なお、焼香と混同されがちなものが線香焼香です。ただし、こちらは線香を使用するため、おもにお墓参りなどで利用されます。そのため、焼香とは使用目的が違うことを覚えておきましょう。

焼香を行う理由

焼香を行う理由は、故人様があの世で食べ物に困らないようにという祈りを込めるためと、焼香を行う方の身を清めるためです。

仏教では、焼香の香りは仏様の食べ物であると考えられています。故人様や仏様にお食事をしてもらい、あの世での幸せを祈ることが焼香を行う理由のひとつです。

また焼香は、人の邪気を祓って精神と肉体の穢れを取るともいわれています。つまり、焼香をする人の心と体を清めて、お参りをするための準備を整えることがもうひとつの理由です。

香には香木を刻み混ぜ合わせて粉にした抹香や、棒状にした線香があります。皆さんになじみがあるのは、どちらかというと線香でしょう。

お葬式では、抹香を使って焼香をします。故人様が迷わず極楽浄土に旅立てるように、そして参列者は心を清め、弔いに専念し心を整える大切な儀式です。

焼香の由来

焼香の由来は、インドにあるといわれています。インドには、仏教が始まる前から香を焚く習慣があったそうです。

もともとインドはとても暑く、昔は空調設備もなかったので、汗をたくさんかき体臭が漂っていました。そして、この臭いを消すために香が使われていたそうです。

お釈迦さまが仏教を広め始めた頃は、仕事で汗をかいた労働者が説法を聞きに集まってきました。その際、人々の体臭が気になり説法に集中できなくなったお釈迦さまが、お香を焚き始めたといわれています。これが仏教における香の始まりです。

また、ご遺体の臭いを消すために、香が焚かれるようになりました。

お葬式における焼香のやり方

焼香は、大きく分けて立礼焼香と座礼焼香、そして座礼焼香という3つの種類があります。それぞれの焼香のやり方を確認しておきましょう。

なお、焼香は故人様との関係が近い人から順に行います。最初は故人様との関係が一番近い喪主、次に親族、その後に参列者の座っている順で行うことが一般的です。

立礼焼香のやり方

立って焼香を行う焼香が、立礼焼香です。斎場で行うお通夜やお葬式、告別式では、立礼焼香を行うことが一般的でしょう。

立礼焼香のやり方は、以下の通りです。

1:順番が来たら、祭壇の前へ進む
2:祭壇の手前で、遺族と僧侶に一礼
3:焼香台の前で正面に向かって一礼
4:左手に数珠をかける
5:右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまむ
6:香炉の炭の上に落とす
7:正面に向かって手を合わせ一礼

座礼焼香のやり方

座ったままで行う焼香が、座礼焼香です。

座礼焼香は、和室など小さな会場で椅子がない場合に行うことが多く、祭壇や焼香台が座ったときの高さに合わせられているため、座ったままで焼香を行わなくてはいけません。腰を落としたまま移動し、焼香は正座したまま行います。ただし、焼香台までの距離が遠い場合は、立ち上がって中腰で進むようにしましょう。

なお、座礼焼香のやり方は以下の通りです。

1:祭壇まで中腰で進む
2:姿勢を正し、ご遺族と僧侶へ一礼
3:故人様の遺影に一礼
4:膝行(腰を落としたままの移動)で焼香台の前へ移動
5:正座のまま焼香を行い合掌
6:膝をついた状態で、後ろに下がる
7:僧侶とご遺族へ一礼
8:中腰のまま自席へ戻る

回し焼香のやり方

焼香台を参列者に順番に回していく焼香が、回し焼香です。

自宅など狭い会場では、導線を確保することが難しいため、焼香台を置かないケースがあります。この場合、香炉を台の上に載せて移動させられる回し焼香が用いられることが一般的です。

回し焼香のやり方は、以下の通りです。

1:焼香が回ってきたら、一礼して受け取る
2:香炉を自分の前に置き、故人様に一礼。額の高さに押し頂く
3:抹香を右手の親指、人差し指、中指の3本でつまむ
4:そのまま額の高さに押し頂き、静かに炭の上に落とす
5:両手に数珠をかけて手を合わせ、その後一礼
6:次の方へ香炉を回す

宗派による焼香の回数

焼香は、故人様が信仰していた宗派の作法で行うことが理想です。しかし仏式のお葬式では、自分の宗教や宗派の作法で焼香を行ってもよいとされています。

お葬式の規模や時間、人数によって、焼香の回数が決められていることもありますが、宗派によって焼香の回数は異なることが多いです。抹香を何回くべるのか、額に何回押し頂くのかについても、宗派によって違いがあります。

たくさんの宗派がありますが、抹香をくべる回数は基本的に1~3回です。焼香の回数が1回の場合は「一に帰る」という仏教の教えを大切にしています。

焼香の回数が2回の場合は、主香と従香という考え方を大切にしており、1度目は故人様の成仏を願うために行われ、2度目は1度目の香を絶やさないためという想いが込められているそうです。

そして仏教では、3という数字が重視されているので、焼香を3回行う宗派もあります。

以下で、宗派ごとの焼香の回数を紹介するので確認しておきましょう。

天台宗

天台宗の焼香には、特に回数の定めはありません。1回や3回の焼香をされるケースが多いようです。お線香は3本で、同時に火をつけ香炉の真ん中に立てます。香炉の手前に1本、お仏壇側に2本を逆3角形になるように立てることがマナーです。

真言宗

真言宗の焼香は、3回行います。香は額の高さに上げて押し頂くのがマナーです。3回の焼香を行う意味は、身・口・意の「三業」を清めること、仏・法・僧の「三宝」に香を捧げるため、「三毒の煩悩」をなくすためと考えられています。お線香は3本で、作法は天台宗と同じです。

日蓮宗

日蓮宗の焼香は、1回行うことが多いです。導師は3回行います。お線香は1本で、香炉の真ん中に立てることがマナーです。ただし、地域やお寺によって異なります。

臨済宗

臨済宗の焼香には、特に決まりはありません。1回実施することが多く、額に押し頂くのがマナーです。お線香は1本で、香炉の真ん中に立てます。

浄土宗

浄土宗の焼香も特に回数の定めはないので、お気持ちを込めて行ってください。お線香は1本で、香炉の真ん中に立てるのがマナーです。

浄土真宗本願寺派

浄土真宗本願寺派の焼香は、1回行います。額に押し頂くことはせず、そのまま炭に落とすのがマナーです。お線香は1本を2つに折って、2本に火をつけます。その後、香炉の中で火が左横になるように寝かせおきましょう。

浄土真宗大谷派

浄土真宗大谷派の焼香は2回行います。額に押し頂くことはせず、そのまま炭に落とすのがマナーです。お線香は1本を2~3つに折って、火をつけます。その後、香炉の中に寝かせて供えることが一般的です。

曹洞宗

曹洞宗の焼香は2回行います。1回目が主香で、2回目は従香です。主香は額に押し頂き、従香はそのまま炭に落とします。また焼香の際、左手を右手に添えるのが曹洞宗の特徴です。

お線香は1本で、香炉の真ん中に立てます。

日蓮正宗

日蓮正宗の焼香は1回~3回行います。額に押し頂くのがマナーです。お線香を1本折って火をつけ、香炉の中に横に寝かせて置きます。

ほかの宗教の焼香について

キリスト教や神道の場合は、どのようにお焼香を行うのでしょうか?それぞれについて解説します。

キリスト教の場合

キリスト教の葬儀では焼香は行いません。その代わりに献花を行います。

参列者が一人ひとり祭壇の前に進み、故人様に花を捧げます。花はカーネーションやデンファレのように、茎の長い白い花が使われることが一般的です。ただし、花は会場に用意されていることがほとんどなので、持参する必要はありません。

キリスト教の葬儀は数珠を使わず、教会で執り行われます。喪主やご遺族、一般の弔問客の区別はなく、故人様の霊を慰めることを目的として行われる点が特徴です。

葬儀は生前に神から受けた恵みに感謝して、故人様を神の手にゆだね、天国で永遠に安息が得られるように祈りを捧げます。なお、服装は仏教と同じで問題ありません。

神道の場合

神道の葬儀である神葬祭では、仏式のように焼香をしたり、線香をあげたりすることはありません。その代わりに神道では、玉串奉奠を行います。

玉串とは、榊の枝に紙垂(しで)と呼ばれる邪気払いと、清浄を表す白紙をつけたものです。

なお玉串奉奠は、以下のように執り行われます。

1:玉串を捧げる

2:二拝(お辞儀)

3:二拍手(音をたてないように)

4:一拝

ただし、神社によって四拍手の場合もありますので、祭主や葬儀会社に事前に確認しておくとよいでしょう。

焼香の注意点

焼香にまつわる注意点を2つ紹介します。どちらもありがちなケースなので、この機会に覚えておきましょう。

数珠を忘れた場合

数珠を忘れてしまった場合は、手を合わせて心を込めて焼香を行いましょう。

葬儀会場に来てから数珠を忘れてしまったことに気づき、慌ててしまう方もいると思

います。もともと数珠の役割は、お経を唱えた回数を数えるものだそうです。

では、お経を唱えない私たちには、数珠は必要ないのでしょうか?

私たちが数珠を持つのは、仏様へ失礼にならないよう、故人様の供養を願う気持ち、敬意を払う気持ちを表すことが目的です。また、数珠の玉の数は108つといわれており、数珠を持って手を合わせることで、煩悩を祓うことや魔よけ、厄除けの意味もあります。

数珠を持って葬儀に参列することが基本マナーではありますが、万が一忘れてしまったとしても故人様への供養の気持ちに変わりはありません。そのため、心から手を合わせることで問題はないでしょう。

ただし、数珠を忘れてしまい、ほかの人に借りるのはマナー違反です。数珠は「念珠」とも呼ばれ、本人の分身や魂を表す意味があるため、数珠の貸し借りはやめましょう。

焼香の習慣がない宗教を信仰している場合

焼香の習慣がない宗教を信仰している方が、仏式の葬儀に参加する場合は、故人様の宗派を優先し焼香を実施することが一般的なマナーです。一方、不祝儀袋などの送り方は、自分の宗派のスタイルで実施しても問題ありません。

ただし、人によってはお葬式には参加するが、焼香はしないよう喪主に伝えておく場合もあるため、ケースバイケースといえるでしょう。

まとめ

焼香の回数や意味は、宗派によって違いがあります。また焼香は、仏様や故人様に捧げるだけでなく、私たち自身の心と体を落ち着かせることも大切な目的です。

ただし、焼香の意味や作法を気にし過ぎてしまうと、本来の意味とは違ったものになってしまいます。もっとも大切なことは、故人様のご冥福を祈り、ご遺族への哀悼の意を伝えることです。最後の焼香で心を込めた焼香を行い、故人様への感謝とお別れの気持ちを伝えましょう。

心を落ち着け、心で故人様と繋がるツールとして、焼香は非常に大切なものだと思います。

なお、横浜市、川崎市で葬儀行う場合には、実績豊富な弊社、お葬式の杉浦本店にご相談ください。焼香に関する質問はもちろん、葬儀に関する疑問や悩みがある方は、24時間365日、いつでもお気軽にご連絡ください。

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