仏壇の処分方法とは?注意点や処分費用などもご紹介
2023.10.23
仏壇を処分する理由はさまざまですが、以下のようなものが一般的です。
「新しい仏壇を購入したため、古い仏壇を処分しなければならない」
「引っ越し先で置けなくなったため、仏壇が不要になった」
「仏壇の継承をするのが困難になった」
仏壇を処分する場合は、ある程度決められた手順に従いながら進めていく必要があります。しかし実際には、必要に苛まれるタイミングで、処分方法を調べる方がほとんどでしょう。
そこで今回は、仏壇の処分方法や注意点、処分費用などをご紹介します。
そもそも仏壇とはどのようなものなのか?
仏壇とは仏像や仏具を飾り、仏様を祀る台のことです。家庭の仏壇は、寺院にある仏壇(内陣)を小型にして、厨子と一体化して箱型にしたものであるため、家の中にあるお寺のような存在ともいえます。仏壇はご本尊を祀る場所であり、ご先祖様や亡くなったご親族をお祀りし、対話をするためのものです。
「仏壇は人の心を映し出す鏡」と言われています。仏壇の前に座ると「なんだか背筋が伸び、きちんとしなきゃいけない」と感じた経験を持つ方は多いでしょう。私たち日本人は古来より、仏壇がある日々の生活の中で「仏様が精神的な支えとなり、守ってくれている」と感じるものです。
ご家族が揃って仏壇に手を合わせることを、習慣にしているご家庭も多いでしょう。人のために手を合わせる行為は、ご家族含め他人に対して慈愛の心を育み、それが結果として自分のために手を合わせることにもつながります。
仏壇を処分する前に確認・実施すべきこと
古い仏壇を処分する場合は、仏壇を購入した際、開眼供養(かいげんくよう)がされたかどうかを必ずチェックしましょう。また、開眼供養した仏壇は「閉眼供養(へいげんくよう)」を行う必要もあります。
ここでは、開眼供養と閉眼供養がどのようなものなのかを確認しておきましょう。
開眼供養の実施有無を確認
まず処分対象の仏壇が、開眼供養を行ったものかどうかを確認しましょう。開眼供養とは仏壇や仏像、お墓、位牌を新しく購入した場合に、指定の僧侶を招き読経を行う法要です。開眼供養は、御魂入れやお性根入れ、入仏式など地域によって呼び方が異なります。
開眼供養を行わない仏像は開眼しないため、霊的な尊像に生まれ変われないと言い伝えられています。また、仏壇をお浄めすることも目的の1つです。
開眼供養を行っていない仏壇は、宗教上は木の箱と同じ扱いになります。そのため、自治体の粗大ごみ回収や業者への依頼で処分することも可能です。
ただし地域や宗派によっては、開眼供養を行わないところもあります。例えば、浄土真宗は閉眼供養を行わない宗派のため、開眼供養も行われません。その代わりに、浄土真宗には「遷座法要(せんざほうよう)」と呼ばれる法要が行われます。
閉眼供養の実施
閉眼供養とは、仏壇から故人様の魂を抜く法要で、御魂抜き、お性根抜きとも呼ばれています。閉眼供養を行わずに仏壇を処分した場合、先祖や故人様の魂が抜け切れていないまま処分することになるため注意しましょう。
閉眼供養は、菩提寺の僧侶にお願いすることが基本です。ただし菩提寺がない場合は、お葬式や霊園(お墓)などをお願いしたお寺に問い合わせてみるのがよいでしょう。
法要の一種であるため、お布施やお車代などの代金を用意する必要があります。お布施の金額は、数千円〜15万円程度が相場です。地域やお寺によっても異なるため、事前に確認しておきましょう。
仏壇を処分する5つの方法と処分費用
閉眼供養を終えた仏壇は、普通の家具としての取り扱いが可能になります。そのため、この後は粗大ゴミとして処分を進めることが一般的です。ただし丁重に処分したい場合は、仏壇の供養を行ってから処分を行うとよいでしょう。
ここでは、仏壇を処分する5つの方法と処分費用の相場をご紹介します。
1.菩提寺などに依頼をする
閉眼供養と並行して、菩提寺や近隣のお寺に処分を依頼する方法があります。平成初頭までは、仏壇を境内で焼却していましたが、近年は環境汚染問題などの理由により、供養だけを行うことが一般化しました。そのため、事前に詳細を確認しておくことをおすすめします。
菩提寺にお願いしたときの処分費用は、1万円~15万円程度が相場です。(各寺院によって異なります)
2.専門業者に依頼をする
不用品回収業者や遺品整理業者などの専門業者に依頼することで、仏壇の回収と処分を請け負ってくれます。一部の業者では、処分前に供養・法要まで行ってくれるところもあるようです。
しかし仏壇だけの処分費用は、高額になることが予想されます。そのため、引越しなどのタイミングで依頼を検討するのがよいでしょう。
専門業者の処分費用は、3万円~15万円程度が相場です。(業者によって異なります)
ただし、供養をお願いする場合は、追加費用が発生するため、事前に業者へ問い合わせてみてください。
3.仏壇専門店に依頼する
仏壇専門店の中には、新しい仏壇を購入する際、古い仏壇を引き取ってくれるところがあります。そのため、新たに仏壇を購入する場合には、仏壇専門店に依頼するのがおすすめです。
仏壇専門店であれば、供養や法要も行ってくれるところが多いため、安心して依頼できます。
処分費用は、2万円~10万円程度が相場です。(仏壇の大きさや店によって異なります)
供養代も含まれていることがほとんどのため、事前に各店舗へ問い合わせておきましょう。
4.粗大ゴミとして処分する
仏壇は木製がほとんどであるため、粗大ゴミとして処分することが可能です。必ず開眼供養と閉眼供養の実施有無を、事前に確認したうえで処分しましょう。ただし、粗大ゴミとして処分できるか否かについては、各自治体によって異なる場合もあるため、事前に問合せておくと安心です。
処分費用は、数十円~3,000円程度が相場です。(大きさや素材によって異なります)
したがって、粗大ごみとして仏壇を処分する方法が、もっとも安価に済みます。
5.リサイクルショップなどへ売却する
仏壇を処分する方法の1つとして、リサイクルショップや買取業者に売却する方法があります。ただし、高価な素材のものや美術的なものであれば高い買取価格がつく可能性はありますが、仏壇の買取相場は数千円程度であることが多いようです。
また仏壇をリサイクルする場合は、単純に廃棄することとは異なるため、きちんと依頼時に確認しましょう。さらに悪徳業者も少なからず存在するため、被害に遭わないように口コミや評判を確認しておくことも大切です。なお、仏壇を店舗へ運ぶ手間もあることも忘れてはいけません。
仏壇を処分するときの注意点
仏壇を処分する前には、引き出しの中を隅々までしっかりと確認しましょう。引き出しの確認を忘れる方は多いため、注意が必要です。隅々まで確認したい場合は、引き出しを取り外して、懐中電灯を使って奥や天面を確認します。
種類にもよりますが、仏壇にはさまざまな場所に引き出しが備えつけられているのが一般的です。引き出しの中には位牌や遺影、通帳などが収納されているだけでなく、歴史的希少価値の高いものが収納されている可能性もあるでしょう。
昔は、仏壇の引き出しの中に、貴重なものが収納する習慣がありました。金庫がまだ普及していなかったことが、1つの理由です。そのため古い家の仏壇には、先祖代々が保管してきた大切な物が納められていることがあります。これまでに、江戸時代の古文書や明治以降の族称資料が出てきたこともありました。
また、戦時中の写真や手紙などが入っていることもあります。これらは子孫である私たちが後世に残していく大切な資料といえるでしょう。
まとめ
仏壇を処分する方法は、以下のとおりです。
・菩提寺などに依頼をする
・専門業者に依頼をする
・仏壇専門店に依頼する
・粗大ゴミとして処分する
・リサイクルショップなどへ売却する
ただし、処分する前に開眼供養・閉眼供養の実施有無を確認しておきましょう。また、仏壇の引き出しの中を確認することも忘れてはいけません。
新しい仏壇の購入や引っ越しなどのタイミングで、適切な方法で処分していただければと思います。
なお、仏壇に選びかたや置き方については、以下記事もあわせてご確認ください。