香典袋の書き方とは?準備から渡すまでの手順を解説

2023.10.23

知人やご親族の葬儀に参列をする際には、香典の準備が必要です。近年、家族葬の増加にともない、葬儀に参列する機会も少なくなっています。

そのため「香典をどのように準備をすればよいのか」と不安に感じる方も多いでしょう。そこで今回は、香典袋を準備からご遺族へ渡すまでの手順について詳しく解説します。

香典とは何か?

香典とは、仏式などの葬儀において、故人様のご霊前に供える金品のことです。「香を供える」が香典の語源であり、古くはお金ではなく米や野菜などの食物をお供え物として持参する習慣がありました。これを「食物香奠」と呼びます。

故人様に対する供物の意味以外にも、ご家族への支援や葬儀に携わったご親族が穢れを広めないために、一定期間接触を避けるための食料という意味合いがあったそうです。

香典は明治以降、徐々に金品を包む「金銭香典」に変わっていきました。農村部においては、昭和初期まで「食物香奠」の風習が残っている地域もあったようです。香典は本来、参列者の「気持ち」を表すものですが、故人様やご遺族への敬意を示すために、金額や渡し方、書き方など、さまざまなマナーに留意しなくてはいけません。

ここからは香典袋の準備から、実際にご遺族へ香典を渡すまでの手順について詳しく解説します。

手順1.香典袋の準備

香典を準備する場合には、まず香典袋を準備しなくてはいけません。その際、適切な香典を選ぶことも大切です。ここでは、香典袋の購入場所と選びかたについて解説します。

香典袋を購入できる場所

香典袋は、以下のような場所で購入できます。

コンビニ

近年、コンビニでも香典袋を売っているところが増えました。文房具コーナーに置かれていることが多いでしょう。コンビニは24時間365日営業しているところが多く、急な葬儀の場合でも便利です。

100円均一

100均でも香典袋を購入できます。100円均一で買った香典袋が、ご遺族の失礼にあたることはありません。むしろ、あらかじめ香典袋を買い置きすることのほうが、訃報に備えるようで失礼でしょう。

スーパー・ホームセンター

食料品や日用雑貨などのイメージが強いスーパーやホームセンターでも、香典袋は買えます。文具コーナーに置いてあることが多いです。

ドラッグストア

ドラッグストアでも、香典袋を購入できる場合があります。店舗の規模にもよりますが、文房具を取り扱っているドラッグストアであれば、香典袋を販売している可能性が高いです。

量販店・小売店

文房具店や本屋などの量販店・小売店でも、香典袋が販売されています。特に文房具店であれば、多くの種類の香典袋が陳列されていることでしょう。

ネット通販

多くの種類の中から香典袋を選びたい場合は、ネット通販がおすすめです。ただし配送日時を、即日や翌日に指定できないこともあります。そのため、緊急の場合はネット通販を避け、コンビニや100円均一で購入するほうが安心でしょう。

香典袋の選び方

香典袋を選ぶポイントは、以下の3つです。

・宗教・宗派
・金額
・地域

ここでは、それぞれのポイントごとに香典袋の選び方を解説します。

ポイント1.宗教・宗派

仏式では、水引の色が黒白・双銀・藍銀などで、結び方は「結び切り」「あわじ結び」などの香典袋が使われます。表書きは、四十九日までが「御霊前」、四十九日の法要後は「御仏前」と記載されたものを選びましょう。

神式では、水引の色が黒白・双銀・双白で結び切りの香典袋が使われます。表書きは「御玉串料」「御神前」「御榊料」などを選ぶのがマナーです。

キリスト教式では白の無地、または百合の花や十字架の絵柄が入った香典袋が使われます。表書きは「御花料」「献花料」などが一般的です。

なお、無宗教や故人様の宗教・宗派がわからない場合は「御霊前」「御香典」などを使用しましょう。

ポイント2.金額

香典の金額が1万円以下の場合は「金封」と呼ばれる封筒タイプの香典袋を使用します。水引は本物ではなくプリントされたものでも構いません。

1万円以上の場合は「万円袋」と呼ばれる封筒タイプか、「多当」と呼ばれる折り紙タイプの香典袋を使用します。水引は本物であることが望ましいです。

ポイント3.地域

地域によっても、香典袋の選び方に差がある場合はあります。例えば、関西では黄白水引を使うことが多く、関東では黒白水引が主流です。また、中袋があるかないかについても、地域によって異なります。

香典袋の選び方については、以下記事の内容もご参照ください。

関連記事:『香典袋は包む金額で選ぼう!種類や書き方も紹介』

手順2.外袋・中袋へ文字や金額を記入

香典袋に文字を書く場合、筆記用具は薄墨の筆ペンがベストですが、サインペンでも構いません。ただし、ボールペンや鉛筆は避けます。文字は楷書体で丁寧に書きましょう。筆圧は均一にし、字間や行間も揃えるのがマナーです。

ここでは、香典袋の外袋と中袋の書き方を解説します。

外袋の書き方

外袋の表面には、上段に表書き、下段には名前を右から左へ横書きします。

表書きは中央寄せで、名前は右寄せで書くとバランスがよいです。名前を個人で記入する場合はフルネームを書きますが、夫婦で出す場合は夫の名字と夫婦の名前を書きます。

連名で記入する場合は、3名までは全員の名前を書きますが、4名以上になる場合は代表者の名前と「他一同」と書くのがマナーです。

中袋の書き方

中袋の表面には金額を旧漢数字で縦書きし、「金」という文字を頭に記入しましょう。例えば、3千円の場合は「金参仟圓也」と書きます。「也」は省略しても構いませんが、書いたほうが礼儀正しいです。

中袋の裏面には、郵便番号と住所、名前を縦書きします。住所は、番地や部屋番号まで詳しく書きましょう。名前はフルネームで書きますが、夫婦で出す場合は夫の名字と夫婦の名前を書きます。連名で出す場合、3名まで全員の名前を書きますが、4名以上になる場合は代表者の名前と「他一同」と書くのがマナーです。

中袋がない場合

中袋がない場合は、香典袋にそのままお札を入れます。このとき、お札の肖像がある面を香典袋の裏を向くように入れましょう。また中袋なしの場合は、住所や金額は香典袋の裏に直接記入して問題ありません。

ただし地域差のあるマナーのため、どうすべきか迷った場合は、ご家族やご親戚、葬儀会社などに相談しましょう。

手順3.香典を包む(金額の相場)

香典の金額は、奇数にするのがマナーです。偶数は割り切れることから「縁が切れる数字」といわれているためです。

香典の金額は、故人様との関係性や付き合い、年齢によって変わります。故人様と関係が近いほど香典の金額は高くなり、遠くなるほど下がることが一般的です。またお札は新札ではなく使用感のあるものを選び、裏面になるように入れます。これは「お悔やみなので顔を伏せる」という意味があるためです。

以下に、故人様との関係別に香典の金額相場を示します。

ご親族の場合

・自分や配偶者の親:5万円~10万円程度
・自分や配偶者の祖父母:5千円~3万円程度
・自分や配偶者の兄弟姉妹:1万円~5万円程度
・自分や配偶者のおじ・おば:5千円~3万円程度
・上記以外のご親戚:5千円~3万円程度

ご友人・知人の場合

・ご友人・その家族:5千円未満
・隣人・近所の方:5千円未満
・その他のお付き合い:5千円未満

職場・仕事関係の場合

・勤務先の上司・部下:5千円~1万円程度
・勤務先社員の家族:5千円程度
・取引先関係:5千円~1万円程度

ただし、これらの金額はあくまでも統計上の相場であるため、個人的なお付き合いの関係性や、一緒に参列する方とのバランスも考慮したうえ、金額を決めるとよいでしょう。さらに地域や宗教によっても、香典の金額相場は異なることがあります。事前に喪主や葬儀会社に確認しておくと安心でしょう。

なお、香典のマナーについては、以下記事の内容もあわせてご確認ください。

関連記事:『香典はマナーが大切!金額の目安やマナー、書き方などをご紹介』

手順4.袱紗で香典袋を包む

香典袋は、袱紗で包むことが一般的です。ここでは、袱紗がどのようなものかについてと、その種類を解説します。

袱紗とは

袱紗(ふくさ)とは、結婚式や葬儀などの冠婚葬祭において、ご祝儀や香典を包む布のことです。袱紗は金封を汚したり、袋にシワや折り目がついたりするのを防ぐために使われます。また、渡す相手に礼儀を尽くすことや、喜びや悲しみを共有することも目的です。袱紗の使用は、相手に敬意を表すために昔から受け継がれてきました。

香典を持参する際には、 袱紗に入れて持参するのがマナーです。袱紗は慶事でも弔事でも使うため、大人のたしなみとして用意しておくと安心でしょう。

袱紗の種類

袱紗は、包むタイプと挟むタイプ、大きく2つの種類(形)にわけられます。包むタイプは、一般的な風呂敷袱紗と留め具がついた爪付き袱紗、台座のついた台付き袱紗の3つ。挟むタイプは、二つ折りで袋をはさめる金封袱紗です。

また袱紗には、結婚式などの慶事用と、通夜や葬儀で使う弔事用があります。慶事では明るい暖色系、弔事では落ち着いた寒色系の袱紗を選ぶのが一般的です。慶弔両方で使えるのは、古くからもっとも高貴な色とされている紫色です。

手順5.香典を渡す

お通夜や葬儀に参列し、香典を渡します。ここでは、香典を渡すタイミングと場所、渡し方を確認しておきましょう。

香典を渡すタイミングと場所

香典を渡すタイミングは、お通夜か葬儀のどちらか一度だけです。両方に参列する場合は、お通夜で渡すのがよいでしょう。

香典を渡す場所は、受付がある場合は受付、受付がない場合はご遺族に直接渡すか、霊前に供えます。また香典を渡す前には、記帳を行わなくてはいけません。記帳台で芳名帳に記帳した後、受付を行う場合もあります。

香典の渡し方

香典を渡す際には、まず袱紗から取り出します。袱紗は左開きで開き、右手に袱紗を乗せて左手で香典袋を取り出しましょう。

香典を渡す向きは、相手側から表書きの文字が読めるようにします。ただし霊前に供える場合は、自分側から文字が読めるように置くのがマナーです。

香典を渡すときは、必ず両手で渡します。香典袋を袱紗の上に乗せて、両手で持って渡しましょう。また香典を渡すときは、お悔やみの言葉を述べます。「この度はご愁傷さまです」といった挨拶が一般的です。

香典を渡した後は、受付近くで留まったり話し込んだりするは厳禁です。ご遺族や他の参列者の迷惑にならないよう配慮しましょう。

香典を郵便で送る場合

何らかの理由により。香典を郵便で送る場合もあるでしょう。遠方に住んでいる場合や、葬儀に参列できない場合、香典を郵送することはマナー違反ではありません。

香典は、現金書留で郵送することが必要です。お金を香典袋に包み、添え状(手紙)と一緒に現金書留封筒へ入れて、郵便局の窓口から発送します。

ご遺族が香典を受け取らない場合

香典を辞退された場合は、ご遺族の気持ちを尊重し、香典の持参は控えることがマナーといえます。故人様の遺言や会葬者に負担をかけたくない、お通夜やお葬式を簡略化したい、お礼のお返しが大変など、辞退の理由はさまざまです。無理に渡すことは、逆にマナー違反になる可能性があるため注意しましょう。

どうしても弔意を示したいという場合は、お供え物や供花(きょうか)を送る方法もあります。

まとめ

香典は故人への最後のお別れと敬意の表現です。適切な香典を渡すことにより、故人様やご遺族に対して心からの哀悼の意を伝えられます。書き方・渡し方など、形式的に配慮する点は多いですが、丁寧に準備しましょう。

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