仮通夜とは?お通夜の種類や宗教による違い、実施するタイミング、マナーをご紹介
2023.10.07
葬儀の前日に執り行われる儀式がお通夜です。故人様を偲び、弔うための重要な儀式であり、ご家族やご親族以外にも、ご友人や会社の上司、同僚など、幅広い方が参列されます。近年、お通夜といえば、このような儀式を想い浮かべる方がほとんどでしょう。
しかし、あまり知られてはいませんが、実はお通夜には3つの種類があります。そこで今回は、お通夜の種類や実施するタイミング、マナーなどについてご紹介します。
お通夜の種類
お通夜には、以下3つの種類があります。
・仮通夜
・本通夜
・半通夜
多くの方が、それぞれの意味を知らないと思われます。ここでは、各種類のお通夜がどのようなものなのかを確認しておきましょう。
仮通夜とは
仮通夜の定義はさまざまです。故人様が亡くなった当日にご遺族やご親族のみで過ごす夜のことを表す場合もあれば、葬儀の前日に行う一般的な「お通夜」までの日々を仮通夜とする場合もあります。また、仮通夜は必須で実施するものではありません。
仮通夜では線香やロウソクの火を絶やさないようにしますが、防火上の問題でLED式の線香やロウソクを用いる場合もあります。地域によって異なりますが、仮通夜には一般弔問客が参列せず、僧侶による読経などの宗教儀式も実施しない場合が多いようです。
近年、葬祭ホールの数が増えており、故人様を葬祭ホールの霊安室に安置するケースも増えました。ご家族が付き添えない安置所も多いため、仮通夜を行うことが少なくなりました。しかし、最近は「自宅で最期を迎えたい」という希望により、病院からご自宅へ帰った後、看取るケースも増加傾向です。そのため、そご自宅に故人様のご遺体を安置することが多く、仮通夜という言葉を知らない場合でも、自然と仮通夜になっているケースも散見されます。
現在、仮通夜という言葉を知っているのは、高齢の方ばかりです。葬儀の打合せでご自宅に伺うと、ご家族やご親族が集まって、皆で食事をしながら故人様のことを語っているのを見かけます。仮通夜という言葉は知らなくても、ご家族が集まり夜通し語り合う場は、今でも存在するのだと感じます。
本通夜とは
本通夜とは、訃報を出して参列者を招いて執り行う世間一般的なお通夜をさします。基本的に、葬儀の前日に行われ、多くの場合、宗教者の儀式を伴います。
参列者した方々へのお礼と供養の意味を込めて、飲食を提供する通夜振舞いが慣例になっています。宗教者がいない場合は、希望すれば葬儀会社が手配してくれる場合も多いでしょう。しかし最近は、特に必要がなければ無理に宗教者を招かず、故人様の好きだった音楽をかけながら、ゆったり過ごすような無宗教形式のお通夜も増えています。
なお、一般的なお通夜の詳細については、以下の記事もご参照ください。
お通夜の流れとは?意味や葬式・告別式との違いも解説
半通夜とは
半通夜とは、短時間で取なわれる簡易的なお通夜です。昔のお通夜は一晩中行われ、線香を絶やさないように寝ずの番をしながら過ごしました。「お通夜」という言葉からもわかるように、本来は「夜を通して」執り行われる儀式です。それに対して、2~3時間で済ませるお通夜を「半通夜」と呼び区別していました。
近年、お通夜は全国的にも半通夜の形式が多いです。そのため、わざわざ半通夜と呼ぶことがなくなり、お通夜といえば半通夜をさすようになりました。
本通夜という儀式自体は減りましたが「寝ずの番」「夜通しの線香」の意識は未だに残っているようで、宿泊を希望される方も多いです。防災上の問題もあり、夜通しの線香は行えませんが、お通夜の晩に宿泊できる葬祭ホールもあります。
宗教によるお通夜の違い
お通夜の形式は宗教ごとに異なります。いつ、どの宗教のお通夜に参列する機会があるか予想できないため、事前に予備知識をもっておくと安心でしょう。ここでは、宗教ごとのお通夜について解説します。
仏教のお通夜
仏教におけるお通夜とは、開祖であるお釈迦様が亡くなった(入滅した)際、弟子達が7日間かけて、今までのお釈迦様からの教えを話し合ったという故事が起源とされています。そのため、仏教におけるお通夜の目的は、故人様の冥福を祈るというよりも、葬儀(火葬)の前日に故人様の思い出を夜通し語り合うという意味合いが強かったようです。
しかし近年は、読経中に参列者が焼香をする儀式というイメージが強くなりました。
仏教の教えに興味がある方は、こちらの記事もあわせてご確認ください。
関連記事:『仏教の教えはどのように広がったのか?お釈迦様が悟りに至った後を紐解く』
神道のお通夜
神道におけるお通夜は、故人様の御霊が家の守り神になるための儀式という意味があります。神道のお通夜は「通夜祭」と呼ばれ、遷霊祭と一緒に行われることが多いようです。
遷霊祭とは、故人様の魂をご遺体から、霊璽と呼ばれる位牌のような木の板へ移す儀式です。部屋を暗くして厳かな雰囲気の中、遷霊祭を終えた後、祭詞奏上と呼ばれる故人様の略歴を述べながら称える儀式が執り行われます。
参列者が低頭して、宮司の祭詞奏上を聞きながら故人様を偲ぶ形式です。最後に、仏教の焼香にあたる玉串奉奠(たまぐしほうてん)が実施されます。
神道におけるお通夜の詳細については、以下記事もご参照ください。
キリスト教のお通夜
キリスト教には本来、日本のお通夜にあたる儀式はありません。国民の7割がキリスト教徒だといわれるアメリカでは、お通夜の代わりに訃報を出して皆で面会をする「Viewing(ビューイング)」と呼ばれる風習はありますが、日本のお通夜と性質は異なるようです。
ただし日本においては、仏式におけるお通夜の風習が強く根付いているため、慣習に合わせてキリスト教では「前夜式」(前夜祭など、呼び方はさまざま)が広く行われています。なお「献花」や「香典」も、日本の風習に合わせたようです。仏式の「焼香」にあたるのが「献花」で、「香典」にあたるものは「御花料」と呼ばれています。
なお、キリスト教のお通夜については、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:『キリスト教におけるお葬式の流れとは?宗派による式次第の違いやマナーもご紹介』
お通夜を執り行うタイミング
お通夜を執り行うタイミングは、故人様が亡くなった当日か、翌日が理想といわれています。その理由は、ご遺体の状況が変化するためです。
故人様のご遺体は寝たままの状態になるため、顔の皮膚が後に下がり、肌が張ったような状態になります。また乾燥により皮膚が収縮し、目や口も開きやすくなります。ゆっくりと死後硬直が解けることにより、顔の筋肉が緩み肌の張りも相まって、目と口が開くこともあるでしょう。
つまり、故人様の顔相が変わってくる前にお別れをしてもらうのが好ましいため、できるだけ早いタイミングでお通夜が執り行われます。葬祭ホールや翌日の火葬炉が開いていない場合、お通夜は日延べになりますが、近年は葬祭ホールに保冷室がある場合は多いです。また、死化粧(メイク)の技術も素晴らしく、むしろ生前以上に美しくなる場合もあるため、以前ほど早さに固執する必要はないでしょう。
なお、ご遺体の変化などの詳細は、以下記事の内容をご確認ください。
関連記事:『死後の遺体処理とは?ご遺体の変化となくなってからの流れ』
お通夜に参列する場合の注意点10選
お通夜は故人様を偲ぶ厳かな儀式のため、適切なマナーを守って参列することが大切です。ここでは、お通夜に参列するときのおもな注意点をご紹介します。
1.服装
お通夜に参列する際には、喪服を着用することが一般的ですが、地域によって異なる場合はあります。喪服が指定されていない場合は、黒や暗い色の服装が適切です。控えめで清潔感のある服装を選びましょう。
なお、学生は学生服で構いません。お通夜の場合は、特に“急いで駆けつけた”という体裁があるたえ、普段着や仕事着でも大目に見てもらえる点が特徴です。
2.参列する時間
お通夜の時間には、できる限り遅れずに到着するよう心がけましょう。仕事をしているとなかなか開式から参列できないことはありますが、閉式までには間に合うようにしたものです。あまり遅くなってからでは、ご遺族の迷惑になる場合もあるため注意しましょう。
3.悲しみの表現
故人様を偲び、ご遺族に対するお悔やみの気持ちを表すため、適切な節度をもって悲しみを表しましょう。線香の用意があれば、お線香を上げて供養したり、黙祷を捧げたりすることが一般的です。他の弔問客がいる場合には、早めに切り上げましょう。
4.静粛さと敬意
お葬式の会場内では静粛さを保ち、他の参列者やご遺族の気持ちを尊重するように振る舞いましょう。まれに「故人様は賑やかなことが好きだった」といった理由で、大声で会話をしたり笑ったりする方がいらっしゃいます。しかしご遺族の前では、このような振る舞いは控えましょう。
5.お悔やみの言葉
ご遺族に対してお悔やみの言葉をかける際は、簡潔で温かみのある言葉を選びましょう。また、故人様への思い出を語ることや賞賛も、ご遺族の救いになる場合があります。
6.香典
地域によって異なりますが、関東圏ではお通夜に参列した際、参列者は香典を持参することが一般的です。表書きは仏式が「御霊前」「御香典」、神式では「玉串料」「御霊前」、キリスト教では「御花料」「御霊前」と記載します。近年は、ご遺族の意向により、香典辞退の場合も多いやめ事前に確認しておきましょう。
香典のマナーや金額相場などについては、以下の記事をご確認ください。
関連記事:『香典はマナーが大切!金額の目安やマナー、書き方などをご紹介』
7.携帯電話
厳かなお通夜の最中に自身の着信音が鳴ることを避けるため、事前に電源を切るかマナーモードにしておくようしましょう。忘れた場合、非常に恥ずかしい思いをすることはもちろん、ご遺族や他の参列者の失礼にもあたります。
8.会場へのルート確認
はじめて訪れる会場であれば、地図で事前に行き方を確認しておきましょう。余裕を持って式場に入りたいものです。
9.撮影禁止
会場のルールに従うことは基本ですが、禁止されていない場合でも、写真撮影は控えるべきです。故人様やご遺族へ配慮しましょう。
10.お通夜後の退出時間
お通夜が長時間にわたる場合でも、ご遺族に余計な負担を掛けないため、早めに退出することを心がけましょう。退出する際には、ご遺族(特に喪主)にお悔やみの言葉をかけてから退出するのがマナーです。
まとめ
日本人は何事についても、簡略化する傾向があります。その意味において、良いものは残し、不要なものは捨て去るのが得意な人種といえるでしょう。
お通夜についても、昔は全通夜があたり前でしたが、時代の流れにより半通夜が一般化しました。さらに、近年は1日葬が主流となり、お通夜自体がなくなるケースも散見されます。
日本社会では高度経済成長にともない、仕事や効率を優先した結果、昔の風習を捨てざるを得なかったのでしょう。葬儀も文化の1つであるため、おそらく今後も様式が変ってゆく可能性はあります。
お通夜の様式がどのように変化するとしても、弊社では皆様のお気持ちを第一にしっかりとお手伝いをさせていただきます。
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