香典はマナーが大切!金額の目安やマナー、書き方などをご紹介

2023.05.01

葬儀に参列する際には、香典を準備する必要があります。香典を準備する際には、ご自身の年齢や故人様やご遺族との関係性を考慮し、適切な金額で渡すことが大切です。また、香典袋の記載方法にもマナーがあるため、適切な対応が求められます。

しかし、葬儀は突然執り行われるものです。万が一の事態に備え、事前に香典のマナーを把握しておくことが、社会人としてのたしなみといえるでしょう。

そこで今回は、香典の金額やマナー、書き方などについて詳しくご紹介します。

香典の意味

香典は、故人様にたむける線香や花など、お供え物の代わりとして捧げるものです。そのため本来は、金額の決まりなどは特にありません。なお「香」の字は文字通りお香を意味し、「典」の字はお供えを意味します。

しかし、香典の金額が少なすぎる場合は、恥ずかしい気持ちになってしまうかもしれません。また逆に多すぎる場合も、ご遺族に気を遣わせてしまい、香典返しの心配をさせてしまう可能性があります。

香典に包む金額の目安

上記が、香典に包む金額のおおよその目安です。香典の金額は故人様との関係性や付き合い、ご自身の年齢、また地域などによっても変わります。

一般的に会社の同僚や友人・知人の場合は、目安として20代は3千円〜5千円程度、30代以上は5千円~1万円程度、お付き合いの関係によっては1万円〜5万円程度になる場合もあるでしょう。ただし、役職や年齢によって、規定を設けている企業もあります。

両親やご親族(親戚)の場合は、3万円~5万円、兄弟や両親などの場合は、5万円〜10万円程度といわれています。こちらもご家庭や会社、地域などで基準は異なるため、迷った場合は、周りの方々に相談するのがよいでしょう。

香典袋(不祝儀袋)を購入できる場所

香典袋はコンビニやスーパー、ドラッグストア、文具店、百円ショップなどで購入できます。
コンビニは24時間営業しているので、急な葬儀の場合に便利です。

香典袋の種類は、金額や宗派によって異なります。金額が5,000円以下の場合は、水引が印刷された香典袋を使うのがマナーです。

宗派が不明な場合は、無宗派用の香典袋を使います。ちなみに、香典袋は熨斗袋(のし袋)と混同されがちです。しかし、熨斗袋は祝儀袋のため間違えないように注意しましょう。

香典のマナー

香典には多くのマナーが存在します。ここでは、香典に関するおもなマナーについて確認しておきましょう。

香典に使うお札のマナー

お葬式などのお悔やみ事に使うお札は、新札を使用しないのがマナーとされています。故人様の死を予見し、お札を事前に用意をしていたという印象を避ける風習があるためです。

しかし近年においては、新札でも特に問題ない風潮になってきています。「新札を包むのは気になる……」という場合は、一折してから包むのがよいでしょう。

香典に入れるお札の金額は「4」や「9」、偶数はタブーです。2千円や2万円は問題ありません。ただし、地域のしきたりなどによっても異なる場合があるので注意しましょう。

袱紗(ふくさ)のマナー

袱紗とは、絹や縮緬などで一重または表裏二重に作り、無地や吉祥柄などの刺繍を施したものです。物を包んだり、進物の上に掛けたりする方形の儀礼用絹布で、慶弔事に香典やご祝儀などを包みます。

袱紗を使用する目的は、祝儀袋や香典袋にしわができたり、水引が崩れたりすることを防ぐためです。ただし、袱紗の包み方は慶事とは逆のため注意しましょう。

袱紗の種類

袱紗は、大きく包むタイプと挟むタイプの2種類があります。

さらに包むタイプは風呂敷タイプ、台付きタイプ、爪付きタイプに分類することが可能です。

  • 風呂敷タイプ:正方形の布で金封を包む袱紗。色や柄は慶弔によって異なる
  • 台付きタイプ:台座のついた袱紗。台座は金封の大きさに合わせて選べる
  • 爪付きタイプ:留め具のついた袱紗。留め具は金封の大きさに合わせて選べる

一方、挟むタイプは、ポケットのついた袱紗で金封を挟みます。金封袱紗と呼ばれる簡易的なものです。財布のような形状で包む手間が省け、近年では広く使用されています

また袱紗には、無地のものや柄付きのものもあります。鶴、亀、松、菊、家紋入りのものまで、さまざまな種類があるため、慶弔を使い分けなくてはいけない点に注意しましょう。

色も多数ありますが、弔事の場合は上記のような色合いがおすすめです。紫は慶弔どちらでも対応できます。


袱紗で香典袋を包む方法

袱紗で香典を包む際には、以下の方法で実施しましょう。

まず、袱紗を角が上下左右にくるようにして広げ、香典袋の表を上にして中央かやや右寄りに置きます。

袋を袱紗の中央か右寄りに置きましょう。

右側から折ります。

次に下、上の順に折りましょう。

最後に左側から包み込みます。

香典を渡すときの注意点

葬儀の際、受付で香典を渡すときには、いくつか注意すべき点があります。ここでは、香典を渡すときの言葉のマナー、使ってはいけない言葉、渡すタイミングについて確認しておきましょう。

香典を渡すときの言葉のマナー

葬儀の受付で香典を渡すときには「何と言って渡すべきか……」と、悩むこともあるかもしれません。香典を渡すときには、月並みですが心をこめることが大切です。ご遺族は多忙のため、ごく短い言葉で済ませるのがよいでしょう。

例えば「この度は御愁傷さまです」「心からお悔やみ申し上げます」など、一般的に使用する言葉で問題はありません。一言添えたい人は、急の場合には「突然なことでびっくりしました。まさかこんなことになるなんて思いませんでした」「この度は思いがけないことでさぞお力落としのことでございましょう」といった言葉を使うのが無難です。

故人様が長く患った場合なども「お加減が悪いと聞いていましたが、さぞお力落としのことかと存じます。まだ頑張っていただきたかったのに……」程度で、長くならないように心がけましょう。長々と病気の話に触れることや、亡くなったいきさつを聞くのは、ご遺族の悲しみを深めることになるので避けるべきです。

なおキリスト教の場合は、信仰として神のもとに召されると考えられているため「安らかな眠りをお祈りいたします」という言葉を添えます。

避けたほうがよい忌み言葉・重ね言葉

慣習として不幸を連想させる忌み言葉や重ね言葉は、お悔やみには用いないように注意しなくてはいけません。

忌み言葉とは、葬儀や弔電などの際、故人様やご遺族に不快感を与え、傷つける可能性のある言葉です。忌み言葉には、故人様の死や苦しみを直接的に表す言葉や、縁起の悪い言葉が含まれます。例えば「死ぬ」「亡くなる」「苦しむ」「残念」「不幸」「気の毒」などが、代表的な忌み言葉です。

忌み言葉は、敬語や婉曲した表現に言い換えることが望ましいでしょう。「お亡くなりになる」「逝去する」「お辛いことでしょう」「お悔やみ申し上げます」「心よりお見舞い申し上げます」といった言葉へ言い換えるのがマナーです。

重ね言葉とは、同じ意味の言葉を繰り返すことによって強調する表現です。重ね言葉は、再び起こることを想起させるため、葬儀や弔電などに使用するのは適切ではありません。

例えば「たびたび」「重ね重ね」「何度も何度も」などが重ね言葉です。重ね言葉は1度だけ言うか、別の表現に変えることが望ましいでしょう。「たびたび」は「度々」、「重ね重ね」は「改めて」、「何度も何度も」は「何回も」などに変えることが望ましいです。

香典を渡すタイミング

香典は訃報を受けた後、お通夜もしくはお葬式、告別式に持参し受付で渡します。ただし急な通夜では、香典を持参できないこともあるでしょう。その場合は一言添えて、葬儀・告別式でお渡しすれば、先方に対して失礼にはなりません。

もっとも避けなくてはいけないのは、香典の金額が少なかったことに気づき、改めて追加で香典を持参することです。「不幸が重なる」という考えから、タブーとされています。

香典袋(不祝儀袋)の書き方とポイント

香典袋へ文字を記入する際には、いくつかのポイントに注意しなくてはいけません。ここでは、香典袋の書き方とポイントについて解説します。

香典袋に文字を記入するときのマナー

香典袋は、表袋(外袋もしくは外包み)の上段に表書き、下段に名前、内袋に住所を記入します。毛筆または筆ペンを使って「薄墨」で記入するのが基本です。

薄墨とは、その名の通り薄い墨を用いたもので、故人様に対して悲しみを表す意味があるといわれています。近年は、弔事用に薄墨の筆ペンやサインペンも市販されているため、そちらを使用するのもよいでしょう。

中袋は、黒いペンで記入しても問題はありません。香典袋の表書きを、ボールペンや鉛筆で記すことはマナー違反と捉えられますが、中袋は毛筆ではなく黒いペンで書いても問題はないとされています。受け取った人が読みやすいように、正しいマナーで書くよう配慮しましょう。

慶弔用スタンプの使用可否

近年、慶弔用スタンプと呼ばれるものが、文具店などで販売されています。おもに筆文字のような字体で作られた名前や表書きのスタンプです。

もちろん、スタンプを使うこと自体はタブーではありません。ただし、香典袋に文字を入れる際には、薄墨が基本となります。
字が綺麗では無い方にとっては、慶弔用のスタンプを使いたいという気持ちが出てくるかもしれませんが、受け取られる遺族の中には気にされる方もいらっしゃいます。
価値観にもよりますが、失礼に当たらないように、可能な限り薄墨のペンや筆を使って手書きする方が無難です。

香典袋の御霊前と御仏前

香典袋の表袋には「御霊前」、もしくは「御仏前(御佛前)」と記載されており、宗教や時期に応じて最適なものを選ぶ必要があります。

仏式では一般的に忌明けとされている四十九日までは御霊前、四十九日を迎えた以降は御仏前を用いることが一般的です。佛は仏の旧字体のため、どちらを使っても失礼にはあたりません。

ほかに「御香料」「御香典」なども葬儀、法要ともに使えます。神式の場合は「御神前」「御玉串料」など、キリスト教はカトリックが「御ミサ料」、プロテスタントは「御花料」などを使うのが一般的です。

市販されている香典袋で蓮華の花の模様があるものは仏式用、十字架模様はキリスト教用だといえます。水引には白、白と黒、銀がありますが、どれを使っても大丈夫です。なお近年は、御霊前がどのケースでも一般的に多く使用されています。

香典袋の表書きの種類と宗教による違い

お通夜やお葬式に参列する前に、故人様やご遺族の宗教や宗派の確認をしておくと、スムーズに香典を準備できます。

香典袋についても、蓮(はす)の花が印刷されているものは仏式用となり、神式やキリスト式では使いません。キリスト式では香典袋の右上に十字架が印刷されている物を使用するのが一般的です。

ここでは、宗教・宗派によって異なる香典袋の表書きの書き方をご紹介します。

仏教・仏式の場合

仏教・仏式では、御霊前、御香料、御香典、御悔を使います。一般的に仏教・仏式では、亡くなられてから忌明けの四十九日法要までは、まだ御霊(みたま)としてこの世に存在すると考えられているため、御仏前を使いません。

なお、浄土真宗では「亡くなった即日に浄土に召されて仏となる」という教えがあるため、御霊前は使わず御仏前(御佛前)を使います。御霊前は宗教を問わず使えると考えられていますが、厳密には浄土真宗の人にとっては教えに背くことになり、失礼にあたる可能性もあるため注意しましょう。

ただし、訃報を聞いたときに宗派を尋ねることは難しいため、そこまで気を遣う必要はないと思われます。基本的にお葬式の際には、御霊前で香典を持っていくのが普通です。浄土真宗の場合も、そのケースが多いでしょう。

「どうしても」と拘るご家庭の場合は、訃報の連絡と併せて、その旨を一緒に伝えてくれると思われます。

キリスト教式の場合

日本の場合、キリスト教式は、おもにカトリックとプロテスタントがほとんどです。

カトリックであればお花料、御花料、御ミサ料、プロテスタントはお花料、御花料、献花料、忌慰料を使います。なお、十字架は書かなくても問題ありません。

カトリックの場合は、表書きが御霊前の香典袋を使えます。しかし、プロテスタントでは御霊を異教の偶像崇拝であると捉えているため、御霊前は不適切となるため注意が必要です。

キリスト教式の場合、教会で執り行われることが多いため、事前に教会の名前をネットや電話帳で調べ、宗派(教派)を確認しておくと安心でしょう。教会名の前に、必ず教派が記載されています。教会で葬儀を行う場合は、御花料で用意すれば間違いはないと思います。

神教式の場合

神式(神道)では、御榊料、玉串料、御玉串料、神饌料、御饌料、御神前を使うのが一般的です。神道は日本古来の形ですが、近年は神式の通夜祭、神葬祭に参列する機会は非常に少なくなっていると思います。ちなみに、天皇家は神式だそうです。

御霊前が適切ではない宗教

一般的に、御霊前は宗教・宗派を問わず使え、お通夜とお葬式のどちらにも使うことが可能です。ただし、以下2つの宗派の場合は注意しましょう。

  • キリスト教のプロテスタント:教会でのご葬儀やあらかじめクリスチャンとわかっている場合には、御花料で用意します
  • 仏教の浄土真宗:浄土真宗の場合、人は死後すぐに仏になるという信仰のため、御霊前は使いません

しかし訃報は知らされても、宗派までは知らないことがほとんどです。一族であればまだしも、友人知人の場合、宗派などは知らされないことが多いと思います。ご家族やお寺が拘っていて気にしている場合は、その旨について案内するのが普通です。

香典の名前の書き方

香典袋の水引の下には、参列者の名前をフルネームで書きます。

個人の場合は氏名を、会社として参列する場合は、中心より右寄りに会社名、中心に役職とフルネームで名前を書くのがマナーです。

旧姓で不祝儀袋に名前を記入したい場合は、表書きの下段の中心に新しい苗字で名前を書き、苗字の左横に「(旧姓)」と書くとよいでしょう。もしくは、表書きには新しい苗字のみを書き、中袋の名前の横に旧姓を書いても問題はありません。

なお、表書きの名前は新しい苗字で書くのがマナーです。前程として旧姓でも新姓でも、誰からの香典かが分かるように配慮する必要があります。

香典を代理で渡す場合

参列する人が代理の場合、香典袋には依頼主の名前を書くのがマナーです。ここでは、よくある代理のケースごとに、香典の書きかたの違いをご紹介します。

会社関係の代理で参列する場合

会社関係の代理で参列する場合は、会社名を中心より右側に、役職、フルネームを中心に書きます。見本としては、下記のように記入するのが基本です。

●●株式会社 代表取締役社長 東京太郎


代理で持参した後は、依頼主に間違いなく渡しした旨を必ず報告をしましょう。

妻が夫の代理で会葬する場合

妻が夫の代理として香典を持参する場合は、ご主人の名前の左下に少し小さめの文字で「内」と記入するのがマナーです。これにより「奥様が代理でお見えになった」ということを意味します。ただし、受付で代理として参列する旨を伝えれば、上記は書かなくても大丈夫でしょう。

連名表記の場合

連名で記入する最大人数は、3名程度までがマナーです。連名3名の場合は、中心に一番目上の人の名前を記入し、順に左側へほか2名の名前を記入します。中心から右側には名前を書かない点に注意が必要です。

夫婦の場合は、中心に1名のフルネームを記入し、左横にもう1名の下の名前だけを記入します。4名以上になる場合は、表書きには代表者の名前を中心に、名前の左下に「外一同」と書きます。

詳細は白無地の紙に全員の姓名、住所、金額を記載し内袋に入れましょう。会社代表の場合も同様です。

香典の内袋の書き方

中袋(中包み)の表側には金額を記入します。例えば、袋の中心に「金壱萬円」もしくは「金壱萬円也」と書きましょう。

中袋(中包み)の裏側には郵便番号、住所、名前(フルネーム)を書きます。書く場所は、袋の中心から左側です。市販されている香典袋には、既に記入する欄が印刷されていることも多いため、その場合は欄内に書くとよいでしょう。

金額を記入する際は、旧字体の漢数字である壱・弐・参・伍を使うのがマナーです。香典の金額を書く際は、大字を使うことが一般的といわれています。しかし近年は、略式の漢数字と旧字体の漢数字のどちらを使ってもマナー違反にはなりません。

ただし、旧字体の漢数字を使うのが正式であるため、旧字体を使うことをおすすめします。旧字体の代表的なものは下記のとおりです。

・漢数字:一「壱」、二「弐」、三「参」、五「伍」、千「阡」、万「萬」
・大字:壱、弐、参、伍、拾、仟、萬、圓


香典袋へのお札の入れ方と注意すべきポイント

香典袋へのお金の入れ方にもマナーがあります。香典袋には、お札の向きをそろえて入れましょう。

お札には表と裏があります。袋に入れるお札の向きを気にする人もいるため、香典袋に入れるときには裏向きに入れるよう注意しましょう。

具体的には人物が書いてあるほうが表、人物が見えないほうが裏です。お札の顔のほうを下に向けて入れれば間違いありません。

香典袋によっては中袋があるものとないものがありますが、お金の入れ方としては変わりません。開いたときにお札の顔が見えないように入れておけば大丈夫です。

香典の送り方

香典の送り方は後日、喪主様のご自宅を訪問する、もしくは喪主様宛に郵送で送るのが一般的です。ここでは、それぞれの送り方について解説します。

後日訪問で香典を送る場合

訪問の場合は、事前にご遺族へその旨を連絡することを忘れないようにしましょう。突然の訪問は相手のご迷惑になる場合があります。

郵送で香典を送る場合

郵送の場合、現金を送ることになるため、必ず現金書留の封筒の中に香典袋を入れて送るようにしましょう。その際、お通夜やお葬式に参列できなかった理由や、ご遺族へのお悔やみの言葉を手紙として添えるとよいでしょう。香典袋だけが入っているよりも、故人様への思いが伝わりやすくなります。

ない、葬儀の香典に添えるお悔やみの手紙は、以下の例文を参考にしてみてください。

まとめ

香典には、さまざまなマナーが存在するため、事前に覚えておくと有事の際でも慌てず適切に対応できるでしょう。ただし、地域や職場などによる風習もあるかと思います。不明な点は、ご家族やご親族、または葬儀会社などに相談するのがよいでしょう。

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